電池の片側から水素が取り込まれ、空気中の酸素と化学反応を起こし水が生成されるが、この週程で電気エネルギーが生じる。化学的には、水素がプロトンH+に分解されて電子が残り、電子と酸素、プロトンで水が生成される。燃料電池では水しか発生しないため、化学的な物質によって皮膜が損傷またはさびるという可能性はなく、毒性もない。
燃料電池を稼動するには摂氏80℃程度必要である。余剰の熱エネルギーは、燃料電池スタックにポンプで水を循環させて放出する。エネルギーを化学反応によって発生させるため騒音は全くない。
?Aバラード社の燃料電池
燃料電池を自動車に搭載するためには、容積を小さくする必要があるが、同社はこの問題に対処すべく、第1段階で5kW、第2段階で10kW、第3段階で30kWという燃料電池開発を進めてきた。第4段階で開発した燃料電池容器はゼネラル・モーターズ(GM)に納入されている。
バラード社は1991年に小型燃料電池バスを、その後にフルサイズ(40フィート)のバスを開発し、バンクーバー市と米シカゴ市に納入した。燃料は水素で、天然ガスバスのエンジンをはずして燃料電池を搭載したもので、出力性能に全く差はなく、エミッションもゼロである。燃料電池を搭載するスペースは、天然ガスエンジンのスペースと同じである。
同社の最先端の第3世代の燃料電池は、ダイムラーベンツの「NECAR?T」や「NECAR?U」に搭載されている。
さらに同社は、電池にかわる小型の燃料電池開発も行っている。
?B 燃料電池自動車の特徴
燃料自動車はエネルギー効率がよく、市街走行では内燃機関エンジンより排出ガス性能がよい。世界の動向としては、北米の自動車メーカーはエミッションを、欧州のメーカーはエミッションとエネルギー効率の両方を重視している。
現在開発が進められている燃料電池自動車は3種類あり、タイプAは燃料電池のみを車両に取り付けたもので、バラード社のバス、ベンツ社の自動車で採用されている。タイプBは動力の50%をバッテリー、残り50%を燃料電池によって得るもので、ゼネラル・モーターズ(GMが生産を行っている。タイプCはフルバッテリータイプで、この市場は活況を呈している。
また、例えば燃料電池バスの場合、エンジン搭載部分のスペースとして座席を減らす必要がないといったメリットも挙げられる。
?C燃料電池自動車の課題
燃料
水素は燃料電池エネルギーとして最適だが、インフラの面で問題がある。特に車両用の水素エネルギーを考えた場合、現在のところ、それを運搬するシステム