行っている。目標としているHEVは、代替燃料を使用し、燃費は従来車の2倍で、排気エミッションは米国ULEVの基準をクリアーするものである。安全性、コストも従来の車に匹敵することを目標としている。これは、いわゆる米国政府と産業界で進めているPNCVというプロジェクトである。このプロジェクトの詳細は、各方面で紹介されている。
エンジン関係では、エミッション試験法、分析法、徹媒に関する研究、各種シミュレーションを行っている。特に、乗用車の冷間暖機時の排気工ミッションの低減に関する研究は興味あるものであったのでここに紹介する。
これは、走行後の触媒の冷却を抑え、冷間再始動時のエミッションを減らそうとするものである。
背景
触媒は、エンジン始動後2分程度で浄化効率はおよそ97%に達する。しかし触媒が暖まる間に排出されるNMHC注)は、走行時の排気総量の60%から80%になる。従って、排出ガスを低減するためには触媒を早く暖め、浄化率を高くすることが必要である。
米国EPAのデータによると、図3-1-1に示したように車両の走行と走行の間の停止時間(ソーク時間)の90%以上は24時間以内である。そのため、ソーク時間における触媒の冷却が抑えられれば、再始動時の排出ガスの発生を大きく抑えることができる。
注)NMHC:ノンメタンハイドロカーボン(非メタン炭化水素)
冷却対策触媒
構造概要を図3-1-2に示した。温度を保持させるため、外部への熱伝導を防ぐ工夫(10-3mmHgの真空による遮蔽、セラミックハニカム付きの金属ベローズ)および熱の保持(相転移金属水素化物)を行っている。その結果、図3-1-3に示したように車両停止後24時間過ぎても触媒温度は約300℃を保つことができる。
排出ガス(NHMC)は、表3-1-1に示したように、ガソリン自動車、エタノール自動車とも24時間後のFTP-75テストに於いて、カリフォルニアのULEV基準をクリアできたとしている。
NRELは米国エネルギー省付属機関として、その他いろいろな研究を行っている。その一部は、インターネットにより公開されているので参照されたい。
Alternative Fuel Data Center:http://afdc.doe.gov