は じ め に
この報告書は、日本財団の平成9年度補助事業として実施した「低公害・代替燃料自動車の普及・促進に係る調査研究」の結果をとりまとめたものである。
我が国では、都市部を中心として窒素酸化物による大気汚染状況は、環境基準を達成できない地域が多く、都市部での大気汚染対策は緊急かつ重要な問題となっている。窒素酸化物の発生源として大きな割合を占める自動車については、低公害・代替燃料自動車を大量普及させる施策の必要性が高まっている。また、一方では、石油の可採埋蔵量は現時点では43年程度といわれ、アジア諸国の経済発展により近い将来、石油需給のバランスが崩れることが懸念されている。産業革命以降の急激な石油燃料の使用による二酸化炭素排出がもたらす地球温暖化を防止することも後顧の憂いを残さないためにも大変重要な課題である。このように地球環境、エネルギー政策上からも石油燃料によらない低公害・代替燃料自動車の普及が有効であるが、未だ大量普及に至っていない。特に、現在そのエネルギーのほとんどを石油に頼っている道路輸送部門では、積極的にこの問題に対応していかなければならない。
海外においても、地域、地球環境保全、エネルギー安全保障の観点から、低公害・代替燃料自動車の普及が共通の課題となっている。国情の違いがあるものの、特に先進各国ではこの問題に対し積極的に取り組んでおり、これらの情報を収集し、日本における低公害・代替燃料自動車の普及促進に資する必要がある。
この報告書では、限られた範囲ではあるが、地域、地球環境保全、エネルギー安全保障の観点で、国から地方のレベルにわたる低公害・代替燃料自動車の普及に関する種々の情報を報告する。調査内容からもわかるように、このような大きな問題に対する一つの絶対的な解は無いわけであるが、その国、その地域の状況に応じ着実に低公害・代替燃料自動車の普及が進められている。これらの情報が、我が国における地域、地球環境保全、エネルギー安全保障に対し役立つことを期待したい。
平成10年3月
財団法人物流技術センター
会 長 細 田 吉 蔵
運輸低公害車普及機構
所 長 景 山 久