ノイヴィルト
阿部六郎
昨年『こうもり』の牢番フロッシュで観客を大笑いさせた。劇中で歌手よろしく声をはりあげ「ドミンコだ」と洒落るのであるが、実際その声は歌手のそれであった。あたりまえである。俳優座養成所を卒業、歌は奥田智重子氏に師事、本格的に修学しているのである。あまつさえ、1976年、ニコラ・バタイユ演出『ボンソワール・オッフェンパック』の主役を演じて、芸術祭優秀賞を獲っている。まさに歌役者、大人の味でオベレッタの醍醐味を見せてくれる。
スヴォボダ
川端慎二(劇団NLT)
1994年『春のパレード』に当協会初出演。コメディで数々の名舞台を見せている劇団NLTの代表で出演、演出も兼ねる。喜劇というものの本質を十分に承知されておられる専門家。前回、子供を抱える男やもめのペーソスを余すことなく見せて笑わせてくれたのである。普段の氏にも哀愁が漂っている。
ジプシーの占い師
クロティルデ・フォン・ラウデック
木村有里(劇団NLT)
人を笑わせるのが好きな性格だそうである。高校卒業後に東宝現代劇に入り日舞、バレエ、シャンソン、義太夫と何でもこなした。劇団NLTに入団して25年、喜劇女優のベテラン。選出の寺崎会長とは1980年、英国の喜劇『ノー・セックス・プリーズ』で川端さんと共にご一緒。どんな笑いをオペレッタに吹き込んでくださるのか。当協会とは会回初めてのおつきあいとなる。
ミッターマイヤー
平田孝二
当協会公演初参加は1994年『小鳥売り』である。オベレッタは毎回毎回異色の役に挑戦している。それがどれも適役になる。オペラでもモーツァルトの『コシ・ファン・トゥッテ』など軽妙な役が多いが、創作オペラ『ワカヒメ』『静と義経」などにも意欲的に取り組む。平野忠彦、民子夫妻に大切にされている弟子の一人。
イダ
風間水希
1987年から93年にかけてSKDに在籍、松竹ミュージカルで活躍。オベレッタ協会公演に今回初出演。当協会初期からすべての公演のステージンクを手掛けている藤代暁子先生のご紹介である。じつは藤代さんはSKDの「エイト・ピーチェス」の元ダンサー。あの時代、舞台、T∨で惜し気もなく色気を発散してみせた踊りに目の保養をさせていただいた男性は少なくない。いままた後輩がSKD仕込みのダンスで殿方をきっと楽しませてくれるはず。オペレッタはオトナの娯楽なのである。
アーダム
フランツ・ヨーゼフ皇帝
佐藤征一郎
当協会は1983年『ウィーン物語』で中村邦子さんを相手役として木月京子さんと初共演。1970年、渡独、ケルン市立歌劇場と契約、フライブルク市立歌劇場の主席バス歌手として1980年帰国するまでヨーロッパで活躍。世界に誇る日本バス歌手のトップである。『ウィーン物語』はその後1989年、日暮里サニーホールで再演しているが初演以来のおつきあいだった中村邦子さんが今いないのが嘘のようである。
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