出演者のこと 清島利典(ディレクター)
マリカ:山田綾子
山田さんとの出逢いは1994年、当協会公選が本邦初演した『小鳥売り』の郵便配達娘クリステル役。ドイツ歌曲、日本歌曲などで活躍している方であった。オペレッタは初めてということでご本人も心配されておられたがどうしてどうして初々しい田舎娘を演じ観客をおおいに感動させた。91年にウィーンに在外研修員として留学、平野忠彦氏の門下生として勉強されただけに歌唱力はいうまでもなく芝居心はたっぷりある。今回も田舎からウイーンの都に出てくるおぼこ娘。福島県出身。
ハンジ・グルーバー:宇佐美瑠璃
とっても謙虚な方で、人を優しく包む温もり、大柄でおおらかな気質を感じさせるけれど芯はなかなかどうして、滅多なことでは妥協してくれそうもない。1995年本邦初演の『ラ・ヴィー・パリジェンヌ』以来のおつきあい。イタリア在住中テレビのオペレッタ番組にレギュラー出演、『ポッカチオ』など数々のオベレッタに出演している。父上は往年の映画俳優、宇佐美淳氏。オペラ、オベレッタ、リサイタルなどで活躍中だがその合間に好きな温泉に行く。一緒に行こうと誘っても徹笑んではくれるが妥協はない。
テレーゼ・ヒューブナー:木月京子
1983年、当協会初期の音楽の友ホールでのオベレッタ『ウイーン物語』に初出演、というからもう長い。以来ほとんどの公演に座長格で出演、稽古場では共演者ばかりかスタッフにも気を配る。歌ではいろいろな顔を持ッている。ミュージカル、シャンソン、カンツォーネ、カバレット曲、その卓抜した歌唱力で音楽のジャンルを越えてしまうのである。オペレッタの役づくりは身体からと、稽古に入る前は必ずボディトレーニング、ボイストレーニングを欠かさない。お酒は熱爛を手酌で、つよい。
ヴッリー・セードルマッヤー
坂本秀明
1991年、当協会本邦初選『白馬亭にて』でのジギスムント役でオベレッタデビュー。この役はアクの強い三枚目。容姿がよく、根が真面目な彼はかなりのショックを受けたそうだが、わざと笑わせようとするのではなく大真面目に演じるだけに観客を抱腹絶倒させた。演技力の成せる技である。ウィーン国立音楽大学オペラ科、コンセルバトリウム声楽科卒業。坂本博士氏を父にもつ、クラシック界のサラフレッドであり、いまやオベレッタ協会公演にレギュラー出演する存在である。
グストル・フォン・ラウデック
近藤伸政
1993年、『白馬亭にて』の再演、オットー・ジードラー役が最初だった。その後『春のパレード』『小鳥売り』『ラ・ヴィー・パリジェンヌ』『メリー・ウィドウ』『こうもり』と立て続けに出演、いつも自身で納得いくまぞ役づくりにこだわる。ゴルフもそうである。けっして焦らず、じっくり構えてフルスィング、クリーンでは女性の髪を撫ぞるようにパットする。ダイナミックなところとデリケートなところをあわせ持つのである。だからスコアはいい。シュトゥットガルト音楽大学卒業。
フリッツ
村田友里
1993年『白馬亭にて』のピッコロ少年役で出ていただいたのが最初だった。文学座の養成所出身、学校は国立音楽大学の教育学部。母上が清元の三味線の師匠、兄上も三味線と邦楽一家。前回出演した『ラ・ヴィー・パリジェンヌ』では彼女も三味線を披露、客席を沸かせた。さて、今回再演にあたって前回同様のフリッツ少年役ではあるが、あれから三年目のフリッツは爽やかな女性に変身していた。
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