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<海陸一貫輸送に活用されていない情報化>

国内海上輸送面では、現状では情報化の効果が期待しにくいが、海陸一貫輸送の促進の観点から、今後のトラック事業者における情報化の進展とともに、その必要性が高まる可能性がある。

国際輸送面では、Sea-NACCSが通関関連業のみで運用されるシステムであることが問題とされており、荷主システムなどとの連動が必要であると指摘されている。

 

イ)物流情報化の阻害要因

<情報処理量の少なさ>

情報化の阻害要因としては、特に中小企業において、情報化するほどの業務量が発生しないことがあげられる。すなわち、中小企業における情報化の意義・効果としてあげられるのは、荷主企業への対応、物流サービスの高度化であり、自社業務の効率化に対する効果は薄い。自社内における情報化の必要度が高くないことが、情報化を阻害する要因のひとつと考えられる。

<初期投資負担>

情報化に取り組むにあたっては、必要機器の整備やシステム開発など、ハード、ソフトの両面において初期投資が必要となる。近年ではパソコン端末も低廉化し、また国内EDI標準メッセージの開発など、ソフト的にも標準化の動きが進展してきたが、これまでは各企業が独自に情報化に取り組んできたため、ハード、ソフトの初期投資が情報化への取り組みにおいて大きなハードルとなっていた。特に中小事業者においては、初期投資の負担が情報化を阻害する大きな要因のひとつとなっていると考えられる。

<費用対効果の不明確さ>

情報化には、情報機器の導入・維持コスト、システムの開発・維持コスト、通信コストが発生するが、それらの効果が費用に見合うものかどうかの見極めが難しいことが、情報化の阻害要因の一つとなっていることが考えられる。

また、効果が自社内にとどまらず取引先企業に及ぶ場合も多いが、それらは運賃や料金に転嫁されない場合が多く、このことが情報化投資を阻害している可能性がある。

<人材の不足>

情報システムの開発には、物流・情報化両面の知識を有する人材の確保が必要であり、また、機器の使用方法等について従業員への教育も必要となることが、特に中小企業における情報化推進時の課題と考えられる。

<情報の共有化への抵抗感>

ネットワークKITなど共同利用型のオープンシステムの導入は、営業情報を社外に公開することへの抵抗感の強さが普及にあたって課題の一つとなっている。

<九州における取り組みの制約>

全国展開している企業の情報システムは、東京等の本社が管轄しており、九州だけでの取り

 

 

 

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