【J社】
業種 総合商社
物流特性
・貿易業務一般を行なうが、輸出業務は東京本社に集約しているのに対して、輸入ではより現場での対応(通関業務等)が求められるため、九州支社で担当する事務は輸入が中心となる。
・九州からの輸出品目は小麦粉の調整品、機械部品、化学品など、輸入品目では飼料、食品原料が多い(2品目で全体の約7割)。
情報化の現状
・自社情報システムを構築(1991年頃稼働、98年で償却完了)。
・システム構成
輸出サブシステム:運賃の見積もり、運賃支払いに関する債権管理、ドキュメント作成等(九州支社では未導入)
輸入サブシステム:荷渡指図書などのドキュメント作成(九州でも導入、数社の海貨業者、保険会社などとオンライン処理)
・当初はCPUのない端末を用いていたため、硬直的で融通が利かないという欠点を持っていたが、システムの一部分を各部署のパソコンから処理できるように改善した結果、操作性が向上した。
効果・費用
■効果:ドキュメント作成等の効率化等
■費用:メインフレーム(大型機)使用料、開発費用、ハードウエアリース料などで年間約1千万円
問題点・課題
○データ再入力の必要性
・海貨業者で当社からの諸データを出力できるが、現行では海貨業者が再度それをSea-NACCSに入力している。当社と税関が直結されればこうした無駄をなくせる。(シンガポールのトレードネットでは、様々な企業が自由にアクセスすることができる。)
今後の方向性
○柔軟性の高いシステムの開発
・現行システムの償却に合わせ、98~99年頃をめどに次期システムを開発予定。様々な輸出入の形態にわせた小型システムの集合体のようになり、簡易なメンテナンスは内部化できる見込み。
○省庁横断的な情報システムの構築
・現在のSea-NACCSの欠点は、通関関連業種で閉じていること。新システム開発の際はEDI標準メッセージへの準拠を考慮する。
・貿易業務は多くの行政官庁と関わりがあるため、縦割り行政の弊害を強く感じる。今後横断的な情報システム構築が求められる。
○標準化について
・総合商社の貿易は、扱う商品が多岐にわたり、商品によって貿易の方法も異なり、取引先の状況も時事刻々と変化する(倒産等)ため、標準化が困難であり、情報化にはそぐわないことも多い。