教育こそ経済社会を健全に育成する基礎であり、原動力である。東アジア・オセアニア地域が世界経済の牽引車となった背景には、教育への積極的な投資があった。1996年のユネスコ報告によると、95年時点の識字率は、世界平均の77.4%に対し、東アジア・オセアニア地域は83.6%と、初等中等教育の充実が表れている。
その一方で、世界人口の15%の非識学者のうち、アジア・太平洋地域がまだ、70%を占めている。アジア・太平洋地域は初等教育の重要性を認識すべきだ。平和と民主化の推進により、余剰の人材、つまり軍事関係者の教育現場への登用を進め、教師の絶対数確保を提案したい。
また、アジア・太平洋地域では、科学技術分野で欧米と対抗するため、高等教育の重要性も高まっていくと考えられ、教育、学術分野における国際的な交流、協力を推進する必要がある。高等教育におけるパートナーシップの形成は、21世紀のアジア・太平洋地域のバランスある発展のカギといえるだろう。
日本では80年代以降、いじめが深刻な問題としてクローズアップされてきた。アジアも経済発展を続ければ、同様の問題に直面することは否定できない。
地球規模の環境問題と経済発展の関係にも触れたい。温室効果ガスは地球に有害な反面、その排出削減は経済発展にブレーキをかける。日本はこれを回避するため、世界経済がともに前進することが可能な提案をしたが、理解を得るには時間がかかるようだ。
同時に先進国が大量生産、大量消費、大量廃棄のサイクルから脱却し、発展途上国がこれを越えて経済発展できる社会をつくる必要がある。これには、子供に自然との共生を教え、先進国のライフスタイルを変えることが必要だ。