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・停車位置で列車速度を0する

・速度制限区間へ進入する前に制限速度以下に減速する

・軌道回路に進入する前に信号現示上の制限速度以下に減速する(地上信号方式に対応)

 

上で述べた信号現示上の制限速度は同時刻に先行列車が在線する軌道回路に応じてきまる。このことより、通常のシミュレーションでは対象とする全列車がΔt秒毎に位置と速度を更新する方式をとっている。しかし、この方式ではある時間-空間内を運行する全列車をシミュレーション対象としなければならず、2.2.1で述べた列車運行シミュレータがもつべき機能が容易に実現できない。そこで、最近提案された自律型ミクロモデル[参考文献1]の考え方に基づいて、列車運行シミュレータを開発することにした。このモデルは、列車の運行は先行列車の位置ではなく信号現示のみに影響を受けるので、シミュレーション上は対象列車が時間的に同期をとる必要がないことを利用している。そして、列車走行と進路設定に基づく信号現示の時間的な遷移情報を作成することにより、列車単位および駅単位のシミュレーションを相互に依存しない形で実施できるようにした点に特徴がある。この特徴から、自律型ミクロモデルは今回開発する列車運行シミュレータの機能を満足できると考えられる。

[参考文献1]

明日香,駒谷:ミクロモデルとマクロモデルによる列車運行シミュレーションの結合,電気学会論文誌,Vol.116-C,No 10,pp.1134-1140(1996).

 

図2.2.2-3に信号遷移情報の具体例を示す。これは列車の駅間走行データ(各軌道回路の落下/扛上時刻)とその列車在線位置に応じて後方にある信号機の現示が時間的に遷移する状況を列車ダイヤ図形式(縦軸は距離、横軸は時刻)であらわしたものである。列車が通過した後で、信号現示が停止、警戒、注意、減速と遷移していくことがわかる。また、同一時刻では、列車の在線位置から遠ざかるにつれて、その信号現示が停止、警戒、注意、減速と遷移していく。なお、この図では進行現示は特に表示していない。

 

 

 

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