■地理
北緯33°53'東経130°53'、九州の最北端に位置し、関門海峡を挟んで本州と対峙している。43%を山間部が占め、平野郡は比較的少ない。周囲220kmの海岸線をもち、臨海郡の人工造成地に工場が集中している。地理的な利便性により、古くからアジアの玄関口として栄えた。
■気候
1995年の年平均気温は15.0℃、最高気温34.1℃(8月)、最低気温-4.9℃(2月)、年降水量は1,190mmであった。温暖湿潤気候に属するが、九州の北端に位置するため、季節風の影響を受けやすい。6月から7月上旬にかけて梅雨がある。冬季には時々雪が降る。
■歴史
1963年2月、古くからの歴史を持つ五つの市(門司、小倉、八幡、若松、戸畑)が対等合併して誕生し、同年4月政令指定都市となった。旧五市の内、小倉は小笠原藩の城下町として栄え、明治時代にはすでに北九州第一の都市を形成し、行政、商業の中心的役割を担っていた。他の四市の形成はいずれも、明治後期、近隣の筑豊炭田の石炭を背景とした近代産業の進展に伴うものであった。
関門海峡に面する門司は1889年特別輸出港に指定され、貿易港湾都市として栄えた。八幡は洞海湾に面する一寒村であったが、1901年に官営八幡製鉄所が操業を開始して以来、飛躍的に人口が増加し、都市へと発展した。戸畑も同様に、製鉄所の設置を契機に工業都市として集積が進んだ。若松は、遠賀川水運の集結地であり、石炭積出港として港湾機能が整備され、それに伴い都市化も進んでいった。
その後、北九州地域は鉄鋼、化学、窯業などからなる工業地帯を形成し、日本の四大工業地帯の一つとして日本経済を牽引し、高度経済成長を支えてきた。その一方で、大気汚染、水質汚濁等の激甚な公害を経験したが、市民をはじめ産官学が一体となって努力を重ね、これを克服した。北九州市発足後の歩みは、公害克服の歩みでもある。現在、この過程で蓄積された経験と技術を生かして環境国際協力を推進している。この取り組みは、国連から2度にわたり表彰されるなど、世界的に評価されている。