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これらの措置により、高齢者の労働力への参加についてどれだけ支援できるかは、最終的には雇用主と高齢を自身にかかっている。55歳以上の労働参加が規範となる前に、両者とも、高齢者についての考え方を変え、個人・企業・国の経済にとっての高齢者雇用の価値を理解する必要がある。

 

6. 住居環境と生活様式

 

(1) 子との同居

最近の高齢者1995年全国調査では、60歳以上の高齢者の85%が、少なくとも1人の子供と同居していることが示されている。シンガポールの同居率は、戦後に減少した日本や台湾の様な他のアジア諸国と比較するとまだ一定している。

 

同居率を子供からの支援の有無の指標として見ることは、高齢者への家族の支援の調査では避けられないことである。しかし、同居は、高齢者の世話の質に直接には関係しないかも知れず、家庭の生活様式の「形式」と「機能」とを区別する必要がある。シンガポールの持家所有率は世界最高の国の一つであり、従って、子供と同居する高齢者は、必ずしも子供に頼る必要はないかもしれない。これと対照的に、未婚の子供は、住居費が高いため、居住場所および生活必要品について、両親に頼る場合がある。公共住宅に応募した夫婦は、新しいアパートを入手するまでに平均3-5年待たなければならないので、既婚の子供もまた、彼ら自身のアパートが準備できるまでの数年間は親との同居を続ける場合がある。既婚の子供や孫と同居する時には、高齢の両親も、孫の世話や家事で子供への支援をすることもある。

 

生活様式については、民族的な違いも浮かんでくる。中国系の高齢者は息子と同居する傾向があり、一方、マレー系の高齢者は娘と同居する傾向がある。マレー系は、また、中国系やインド系と比べて、三世代の世帯で住む傾向が大きい。同居がいまだに、家族による高齢者の世話を確実にする最良の解決策と考えられるので、政府は、子供と父母または祖父母との同居を勧める税の奨励措置を実施した。さらにまた、政府は、多世代が一緒になることを奨励する様々な公共住宅計

 

 

 

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