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れなくなる恐れがある。なるべく早期に介護保険制度を設けることを検討し準備しておく必要があり、これによって、高齢者介護の具体的な対策も進むと考えている。

第三には、社会は高齢者向けの「シルバー市場」を開発する必要がある。高齢者向けの食品、日常用品、保健用品などが現在まだ本格的に開発されていないので、今後高齢者の自立とニーズに合わせ、「シルバー市場」を発展させる必要がある。

 

これに関連しては老後生活方式に関する調査がある。上海市老齢科学研究センターが1994年1月にフランス社会養老保健基金会と行った合同調査によると、45歳〜54歳の中年層の人々は、自分の老後生活方式に対する考え方は現在の高齢者より、遥かに変わっていることを明らかにしている。それによると、「あなた(とあなたの配偶者)は貯金を持っていますか」の質問に対して、「貯金がある」と答えた人が90.88%、「貯金がない」と答えた人が6.83%、回答しなかった人が2.34%であった。一方、現在の高齢者に対する調査では「貯金がある」と答えた人は57%である。また、中年層は毎月の収入が1,000元以上ある人(調査時点1人当たり平均消費水準は月389元)は、その老後について「日常生活で自立できなくなったときの生活方式」について、「配偶者に依存する」と答えた人は43.66%、「介護院又は敬老院に入所する」と答えたは20.37%、「子どもに頼る」と答えた人は14.44%となっている。ところが、収入が低下につれて、子どもに依存する者の割合が高くなる。毎月500から800元の人は「子どもに頼る」と答えたのは36%、300〜500元の人は45.45%、300元以下の人は80%となっていた。要するに、経済的保障が確保されない場合の選択はやはり子どもである。

 

「介護保険」については、「賛成」と答えた人は調査対象となった人の74.5%で、「反対」と答えた人は2.83%。「どちらでもよい」と答えた人は22.5%であった。中年層の人々の子どもを持つ意識は、「子どもを生んで老後に備える」という伝統的考え方から、すでに「一人っ子政策」や現実の社会変化によって保険による備えの方向に変わったことが分かる。

現在中国では、定年退職の年齢は比較的低いので、定年退職しても、特に女性はまだ若くて元気な段階にある。そこで、介護保険の加入は、

 

 

 

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