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現在、農村の高齢者の居住様式には三つのタイプがある。(1)は直系型。高齢者と子どもが同居しているタイプで、馬陸鎮では3,672戸のうち1,881戸、51%を占める。(2)は回居型。1人の子どもと固定的に同居せず、数人の子どもの家を転々と回って、子どもに面倒を見てもらう。このタイプは768戸、21%を占める。(3)は高齢者のみの独居型。1,023戸、23%を占める。同居の3,672戸の世帯には、6,801人の子どもがいたが、そのうち、子どもの1,146人はすでに村を離れている。

 

4. 上海市の養老保険制度と医療保険制度の改革

 

(1) 上海市の市区部の養老保険制度の改革

上海市は1993年から城鎮社員養老保険制度の改革を行ない、社会的に統合した運用システムと個人積み立てとを結び付け、異なる所有制の企業にも適合可能で、基本的に統一された養老保険制度を制定した。

この新養老保険制度は、すでに2.38万の国有および集団所有の役所や事業部門約2.4万に属する職員約420万人と既定年退職者約170万人に対しては全面的に適応され、一部の私有企業と個人経営者に対しても実験的に適応されている。その主な方式と初期の成果、及びこれからの課題は次の通りである。

1) 改革の必要性

上海市養老保険制度の改革案の作成と実施には2年間を要した。まず、党中央と国務院によって、養老保険制度の改革に関して、指導方針と原則が明確に打ち出された。それは、?個人が保険料を納めること?個人、事業所、国の3者が共同で養老費を負担すること?養老保障の水準は、生産の発展の水準及び3者の負担力に合わせるべきこと?個々の高齢者の処遇はその個人のこれまでの労働貢献度と提供した資金に適切に結び付けること?養老保険基金の集め方は部分積立制(国家、企業、個人)により、積立基金を保全し、運用による金利収入を加えて増額する措置をとるなどである。その指示に基づき、市の実情に合わせ、資金の安全で効率的な運用制度を作ることが上海市の課題であった。

 

上海市はこの改革を大変重視し、上海市計画委員会、労働給与委員

 

 

 

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