【注1-3】。すでに今世紀初頭にはフランスの60歳以上人口の割合は12.7%に達していたが、日本がこの水準に達したのは1970年代半ばである。
20世紀に入ってからも高齢化はさらに進んだ。1901年と1995年の人口構成を比較すると、60歳以上人口は12.7%から20%へ、65歳以上人口は8.5%から14.9%へと増加している【図表1-4参照】。高齢化の主な原因は出生率の低下である。若い年齢層が漸進的に減少したために、高齢人口の割合が高まったのである。死亡率は20世紀にも低下し続けたが、1960年代までは死亡率の低下は高齢化の要因ではなかった。死亡率の低下は全年齢層の寿命を長くしたので、人口構成に影響を与えるものではなかったからである。しかし1970年代からは、高年齢層の死亡率が低下し、死亡率の低下が徐々に人口の高齢化の要因となりだした。
1995年現在、60歳以上人口は20%、65歳以上は14.9%、75歳以下は6.0%、85歳以上は1.8%である。
一方、20歳末満の人口は、今世紀始めの34.3%から、26.1%(1995年)にまで減少している。しかし中間年齢層(20-59歳)の比率は、終戦後から1960年代半ばまでベビーブームがあったために、今世紀始めとほぼ同じ程度になっている。しかし現在の低い合計特殊出生率(1.7)が将来はさらに低下することも予想されるので、ベビーブーム世代が高齢になる頃には、フランスでも人口の高齢化が深刻な社会問題になるであろう。
2050年の人口構成予測は、合計特殊出生率を1.5と仮定した場合には、60歳以上人口は38.7%、65歳以上人口は32.1%、75歳以上人口は19.7%、85歳以上人口は7.9%となる。フランスの社会保障制度では、老齢保険(原則的には60歳から老齢年金が支給される)の財源が就業者の拠出金にある制度であるため、老齢人口の増加