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よって行われるサービスも図表4-2-10のD,Eの領域での介護サービスである。公的部門が全てのサービスを自ら行うよりも、それぞれの部門の長所(図表4-2-11参照)を活かすほうが安くて便利で、人間的にもなるというのが福祉ミックス論の考えである。

 

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(2) プロダクティブで持続可能な福祉

 

第二は生産的福祉(Productive welfare)の重視である。老年学で有名なロバート・N・バトラー博士はプロダクティブ・エイジング(生産的な高齢化)というコンセプトを提唱して、高齢者が生産的にその生活を送るように自らも心がけ、社会的にも支援するように呼びかけてきたことで知られる。福祉も必要であるが、経済や経済成長には重荷であると見られがちである。しかし、高齢者もプロダクティブになるように福祉もプロダクティブになる。福祉支出の増加は需要面では需要と雇用を創出し、供給面では高齢者、子育て期の女性、障害者の就業と社会参加を助成し、潜在生産力を活かすような福祉政策を行なえば福祉政策も経済成長に寄与できる。退職前後の高年者の場合、その能力が活かされ、適した仕事ができるようになれば、本人も満足し、社会の付加価値と財政収入も増える。障害者についても同様に言える。公的年金の支給開始年齢は21世紀には現在の60歳から段階的に65歳まで引き上げることになっているが、2015年以降、国民の合意を得て66、67歳まで引き上げることは可能であろう。アメリカでもスウェーデンでもその程度までの年金支給年齢の延長を計画していることを考えると、平均寿命が長く、その頃の高齢者比率

 

 

 

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