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第4章 21世紀の横浜の福祉と生活

 

1. 21世紀への福祉政策の潮流と理念

 

21世紀を間近にして、福祉政策も生活も変る。人口高齢化、情報化、国際化と国内での分権化、低成長・生活の質志向というメガトレンド(大きな流れ)と財政的制約の中で、増加する福祉ニーズを充足しなければならない。そのために資源を効果的に生かす工夫を必要とする。現在は財政構造改革は中央政府を中心に行われているが、分権化の流れの中で地方財政の比重が高まるにつれて自治体の役割りは一層大きくなる。自治体も確たる理念を持って財政構造改革を行わなければならない。

財政制約下の福祉ニーズを効果的に充足する工夫として福祉政策の分野に現われた二つの新しいコンセプト(考え方・概念)がある。一つは福祉ミックス論であり、もう一つはプロダクティブな福祉というコンセプトである。

勿論、それ以前からの基本理念であるノーマライゼーションと共生の理念、福祉政策や環境政策の分権化と住民参加、医療・保健・福祉の地域レベルでの総合化、福祉サービスにおける施設ケアと在宅ケアの総合化等の理念と政策目的はまだまだ達成にはほど遠い。これらの理念はこれからも一層、重視されるべき理念であり、目標であるが、福祉ミックスとプロダクティブな福祉というコンセプトは目標そのものというよりも、財政制約下での目標を効果的に達成するための考え方を示唆するものと言える。

本章では(1)横浜市の生活と福祉が現在どのような特徴があるかということと、(2)21世紀の横浜はどうなるかということを総括的に展望すると同時に、(3)経済的財政的制約下で福祉ニーズを充足するために必要になる福祉ミックスとプロダクティブな福祉とはどのような考えであり、政策であるかを説明することにしよう。

 

 

 

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