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康状態は悪化する傾向があると考えられる。「移動前は利用していないが、移動後に利用している者」は移動前後に健康状態が悪化したために医療サービスを利用するようになった者であり、加齢と健康状態との相関にしたがった自然の流れである。ただし、移動と健康状態の悪化のどちらが時間的に先行しているか明らかではないため、移動したために健康状態が悪化したのか、健康状態が悪化したために移動したのかは判別できない。一方、「移動前は利用していたが、移動後は利用していない者」は加齢と健康状態との相関に反する流れであり、これは医療サービスへのアクセスの悪さ(利用のしにくさ)を表す指標であると考えられる。

移動前後ともに利用していない者の割合は転入者13.6%、転出者14.0%、移動前後ともに利用している者の割合は転入者81.0%、転出者77.8%であった。移動後に利用するようになった者の割合は転入者2.1%、転出者2.7%と大きな差はみられなかった。移動後に利用しなくなった者の割合は転入者3.3%、転出者5.5%で、転入者の方が割合が小さかった。上記より、札幌市は転出先の自治体と比較して、医療サービスへのアクセスが良いことを示している。

移動後に利用しなくなった者の割合について、性別で比較すると、男性、女性ともに転入者の方が小さく、特に男性ではその傾向が顕著であった。これは、札幌市の医療サービスが男性にとって利用しやすいものであることを示している。また年齢階級別(前期高齢者・後期高齢者)で比較すると、前期高齢者では転入者の方が顕著に小さく、後期高齢者では転入者の方が大きかった。これは、札幌市の医療サービスのアクセスが、後期高齢者よりも前期高齢者にとってよいことを示している

 

・札幌市は転出先の自治体と比較して、医療サービスへのアクセスが良い。

 

(7)福祉サービス利用

ここでは、移動前後の福祉サービスの利用状況について記述する。(表2-7-1、2-7-2)移動前の福祉サービスの利用率は転入者4.6%、転出者4.1%、移動後の利用率は転入者5.5%、転出者7.0%で、移動前はほとんど差はみられなかったが、

 

 

 

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