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6. バタフライの指導

 

ハタ・セントラルスイムクラブ池袋  川原 歩

 

バタフライを泳ぐに当たり,どのような泳ぎが速く,またタイム短縮につながるのかを考えてみたい。

まず,図Aを見てもらいたい。1996年日本選手権女子200メートルバタフライ決勝の75メートル付近における鹿島瞳選手の,0.1秒間に進んだ距離を示したものである。折れ線が上にいく程スピードが速い事になる。(株)ベースボールマガジン社スイミングマガジンの図や文章を引用しながら説明させて頂く。鹿島選手は,この75メートル辺りで,1ストロークで2.02m進み、1.30秒かかっている。1m辺り0.65秒で100mに換算すると1分5秒の速さに匹敵する。ちなみにこのレースの後半100mは1分6秒21(ターンを含む)であった。折れ線の左端で両手が入水され,すぐ第一キックが打たれている。そこが?Aの位置で0.1秒当たり16.1cmの速度と少し遅くなっている。その直後かき”のために両手を開き始めると,両肩がもろに水の抵抗を受け,ブレーキがかかってしまう。これはバタフライ選手の宿命で,世界のトップ選手でも必ず速度の低下が起こってしまう。鹿島選手も?Cのところで0.1秒当たり13.6cmと速度が若干落ちてしまっている。

その後一気に?I辺りまで”かき”が行われ,フィニッシュ近い?Hでは,0.1秒当たり21.0cmに達している。その後,手が空中に出て,リカバリー動作になる。この時,第1キックの為のかかと上げが行われ,?Lのところでもう1度ブレーキがかかってしまう。これもバタフライの宿命で,どんな選手でも大きく速度が落ちる。鹿島選手の場合,0.1秒間に10.7cmの速度まで落ちている。

このようにバタフライでは,最高と最低で2倍以上の速度変動がある事になる。

 

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