1. 緒言
(財)日本水泳連盟会長 古橋 廣之進
(財)日本水泳連盟は、長年にわたり水泳の競技力向上を図ると共に、個の特性に即した合理的で安全な水泳指導の普及・充実に努力して参りました。そうした事業の一環として、水泳医・科学研究会・シンポジウム、国際会議等を開催し、また、泳法に関する各種の調査研究を推進して参りました。
それらの成果を基盤に、日本財団((財)日本船舶振興会)の補助金を受けて、「水泳の普及振興事業」として「泳法に関する調査研究」を開始し、平成6(1994)年度:クロール泳、平成7(1995)年度:平泳ぎ、平成8(1996)年度:背泳ぎに関する調査研究を実施し、それぞれ報告書を刊行して参りました。
本報告書は、バタフライ泳法に関するもので、一連の調査研究報告書の最後となります。
ご存知のように、バタフライは、平泳ぎから誕生した競技種目であり、その歴史はわずか40年あまりです。しかし、蝶々が卵、毛虫、さなぎと変身してようやくはばたくように、この短期間にバタフライ泳法は数多くの変化を見せ、工夫・改善されてきました。
また、日本の長沢二郎選手が、実質的な現代バタフライ泳法の創始者と呼ばれることに象徴されるように、日本水泳界は、数多くの名バタフライ選手を輩出してきました。
その基本となるものは、日本人の体格・体力を考慮して、より抵抗が少なくより大きな推進力を生む泳法をつくり出そうとする信念と姿勢でありましょう。
今、日本水泳界は、底辺の拡大と頂点の上昇すなわち水泳の普及振興さらには競技力向上をめざして、日々努力しています。
そうした営みの中で、この調査研究報告書が、水泳のさらなる発展の一助となり、一人でも多くの水泳愛好者や名選手が、まさに蝶々のように世にはばたくために、役立てば幸いです。
最後に、長年にわたり「水泳の普及振興事業」に援助下さった、日本財団に心より厚く御礼を申し上げると共に、これらの調査研究の実践に貢献していただいた関係者各位に深謝致します。