「優勝できるとは思っていなかった。強い選手ばかりだったので、負けても言い訳ができると思うと気が楽だった(笑)」
―― 優勝おめでとうございます。大会を終えた今のご気分はいかがでしょうか?
藤井 終わって、ホッとしてます。
―― 大会終了後、新幹線の時間が迫ってるということで閉会式もそこそこに会場を後にしましたが、電車には間に合いましたか?
藤井 道着姿のまま東京駅まで行ってなんとか間に合いました(笑)。新幹線の中で着替えて、小郡の駅には(勤務先である山口鴻城高校の)校長先生が迎えに来て下さったのが嬉しかったですね。
―― 校長先生には全日本大会に出ることは言ってあったんですか?
藤井 いいえ、言ってなかったんです。組み合わせ表を見たらナショナルチームの選手ばかり近くにいたので、どうせ負けるやろからと思って言わずに東京まで行ったんです。
―― では優勝するとは思っていなかったのですか?
藤井 そうですね。組み合わせ表を見るかぎり強い人ばかりだったので、これなら負けても言い訳できるやろと思ってました(笑)。もちろん1試合1試合は神経使ってやってましたけど、気持ちは楽でしたね。
「自分の優勝はもちろん嬉しいけれど、やっぱり空手部を日本一にすることができたら、もっと嬉しいでしょうね。」
―― 藤井さんはなみはや団体でも中量級優勝してますが、今年は突然現れてビッグタイトルをふたつもかっさらっていったという感じですね。なぜここ数年、大会には出ていなかったのでしょう?
藤井 大会の予選が、たまたま学校の行事と重なっていたからです。やっぱり給料を頂いている以上、仕事は最優先ですからね。
―― また過去にも平成4年の山形国体軽量級て優勝していますが、これは大学4年生の時で学生個人戦で優勝した時でもありますね。大学はあの名門・近畿大学ですが、当時の思い出などはありますか?
藤井 本当は経済的な理由などもあって大学進学を迷っていたのですが木島(明彦)監督が面倒をみてくれるというので、監督の人柄に惹かれて近大へ進学しました。みんなとわいわいやりながら楽しい4年間を過ごせましたね。仲間が良かったのだと思います。みんなにはとても感謝してます。
―― 藤井さんは現在、山田県鴻城高校の先生として空手道部の指導にも当たられていますが、ご自分の練習もかなりこなしていたのでしょうか。
藤井 いえ、私はほとんど指導だけです。朝練も毎朝7時半から学校近くの山を走ってますが、これも見てるだけですからね(笑)。やはり自分が優勝するのも嬉しいですが、それよりもうちの空手部なり部員なりが日本一になってくれた方がもっと嬉しいですね。よく「チャンピオンはいい指導者になれない」と言われますが、そうならないように今後も指導の方に重点をおいていきたいと思います。