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長谷川行光(関東地区)、与儀実勝 (九州地区)、土屋秀人(学連)、そして阿部良樹(東北地区)の4人。

佐久本が1回戦で姿を消した今、やはり阿部の前には敵がいなかった。得意のスーパーリンペイで25.8を出した阿部が2位の土屋のウンスーに0.2点差をつけて堂々の6連覇を達成した。

(6連覇の)プレッシャーはかなりありましたが優勝できて嬉しいです」と阿部。元世界チャンピオンの形を目の当たりにしたのは初めてだったというが、佐久本出場を一番意識していたのは、この阿部良樹だったのかもしれない。

 

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上農真理と若井敏子

 

頂上対決は若井に凱歌!

 

もうひとつの注目となったのが女子形の上農真理(近幾地区)と若井敦子(実業団)の一騎討ちだった。今まで三村由紀や横山久美といった強豪の影に隠れていた上農は昨年の全日本で初優勝。しかし若井も負けじと97年に入るや7月の東京レディースカップの日本代表に選ばれ見事優勝したのを皮切りに8月のワールドゲームス、9月のワールドカップ、11月のアジア大会と、すべてを優勝で一気に駆け抜けてきた。また10月のなみはや国体では上農と同点優勝しており、この全日本大会はふたりの事実上の一騎討ちと見られていた。

若井は1回戦をセーパイ、2回戦をクルルンファでともに1位通過で決勝進出。一方の上農は1回戦をバッサイ大、2回戦をニーパイポで、こちらはともに2位通過で決勝進出。決勝では演武順は先だった上農がトマリバッサイを演じて25.65点をマーク。続いて若井が得意のスーパーリンペで勝負し、これが25.8点となり上農を上回って優勝を果たした。

 

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この全日本大会を最後に引退を決意した上農は「結果は準優勝でしたが、精一杯やったので悔いはありません」と涙ながらに語った。

また97年最後の大会も優勝で飾った若井は「自分ひとりでは優勝できなかったと思う。大勢の人たちの期待に応える形で1年を締めくくれてほっとしました。先生や仲間たちのおかげです」と元気一杯に語った。若井は当然、地区の大会や実業団の大会でも優勝しており、これで取っていないタイトルは来年ブラジルで行われる「世界大会」のみとなった。上農真理引退と同時に華開いた若井教子、今後の活躍が楽しみである。

 

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