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公開演武

柳生新陰流兵法

打太刀 柳生新陰流第二十一世宗家 柳生延春平巌道
使太刀 剣道教士七段 居合道教士七段 平野宣昭

 

宗家柳生延春巌道

流祖よりの伝系

上泉伊勢守信綱―柳生石舟斎宗巌―柳生兵庫助利巌―徳川義直―柳生連也巌包―徳川光友―徳川綱誠―柳生巌延―徳川吉通―柳生巌濤―柳生巌春―徳川治行―柳生巌之―柳生巌久―徳川斎朝―柳生巌政―柳生巌蕃―徳川慶恕―柳生巌周―柳生巌長―柳生延春巌道

流儀の概要

室町末期、上泉伊勢守信綱は愛洲陰流より「転」(まろばし)を工夫して、新陰流を創始した。信綱に師事した柳生石舟斉宗巌は「無刀の位」を開悟して第二世を継いだ。宗巌の五男宗矩は徳川家康に仕え、将軍秀忠、家光の兵法師範となり剣名を天下に高めた。次いで十兵衛三巌、宗冬、宗在と伝えたが、江戸後期には惜しくも兵法から遠ざかった。一方、宗巌の長男巌勝の子、兵庫助利巌は祖父石舟斎の薫陶を受け、偉才が開花し第三世を継承した。元和元年(一六一五)に尾張藩主徳川義直の兵法師範となり、大平の時代に即応する「直立(つったつ)る身」―自然体―の兵法を確立し、流祖以来の剣の理と刀法に根本的な改革を加え、当流を大成した。利巌の子、達也巌包も天才的な達人で、「尾張の麒麟児」と称えられた。当流は尾張藩の「御流儀」と尊ばれ、道統は尾張柳生家と尾張藩主徳川家の協力により正しく伝承されて、現在第二十一世宗家柳生延春巌道に到っている。

特徴

当流刀法の特徴は、心身ともに「無形の位」を本体として、千変万化する敵の働きを明らかに観て、その働きに随って無理なく転変して勝つ、自在の刀法即ち活人剣である。太刀を全身の働きによって、伸び伸びと遣い、刀身一如、臨機応変して、自由活発なる神妙剣を目指している。当流には流祖以来の剣理と刀法が正しく体系的に完備している。

当流を代表する太刀(形)は「三学円之太刀」、「九箇之太刀」、「燕飛」、「天狗抄」、「奥義の大刀」であるが、「二十七箇条截相」もあり、特に尾張柳生家独特の「試合勢法」が百数十勢法残されているのは貴重である。

現在、当流は柳生会により弘流に努めている。稽古場は、名古屋では名鉄体育館(西区松前町二-六〇)を中心に六箇所、東京は中野区立体育館(中野区中野四丁目)と二箇所、大阪は豊中市立武道館「ひびき」と二箇所あり、いずれも定期的な稽古を実施していて柳生延春宗家が指導している。なお、毎月一回、古来伝承されている兵法口伝書について柳生宗家の講義が行われている。名古屋は第一土曜日(七時〜八時半)熱田神宮内龍影閣。東京は第三土曜日(一時〜二時半)新宿区上落合の合気道養神館。大阪は第四土曜日(四時〜五時)豊中市武道館「ひびき」である。

 

 

 

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