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1995年度の報告書にもみられるように、今回の調査においてもイヌの糞便内から、ヒトが固有宿主である蛔虫(Ascaris sp.)の卵が高率(28.0%、表2)に検出された。このことから、イヌ自身が終宿主として日本住血吸虫卵を排出するのみならず、本症患者の虫卵を含む糞便を捕食してそれを排出している可能性が改めて確認された。調査地域においては、ほとんどのイヌが放し飼いにされておりその行動範囲も広いことから、イヌは本症流行地域の拡大の一端を担っているものと考えられた。

 

 

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1) 糞便中に含まれる虫卵数の算出

被検糞便lg中に含まれる日本住血吸虫の虫卵数(eggs per gram,EPG)を算出した結果を表3に示した。各保虫宿主の感染率が高い傾向を示した Malabo 地区では、EPG値も高い検体が多い傾向がみられた。これは感染源と住宅の密集地が近接している地区では、地区全体の感染率が高いのに加えて、各個人が繰り返して感染を受けるために感染の程度も重くなることを示すものと考えられた。

 

 

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