これが利根川の堤防が切れたところです。51年前。栗橋です。つまりそのころは大水害の連続でした。それが流れ流れまして、幸手の繁華街を流れております。更についに東京都内に入りました。葛飾区の目抜き通りを流れているところです。このハッチの中が氾濫したところで、栗橋で堤防が切れたのが、9月16日の未明です。そして5日たって東京は総武線の小岩と新小岩の間を切りました。
そういうわけで広範な範囲が氾濫しました。約50年前の出来事でありますが、もし今切れたらとは縁起でもないことを申しますが、災害というのはそれと同じ規模のものがいつか必ずあるわけです。阪神大震災も、大昔から全然地震がなかったわけではないんです。つまり水害であろうが地震災害であろうが、どんな災害でも、災害が起こった時に、その前にあった大洪水などから今日までのその被災地の土地利用がチェックされる、と私は見てるわけです。ですから、もし利根川が切れれば、この50年間、この地域の土地利用がどうなったかがテストされるんだと、そう見たいんですね。
ところで、この利根川の氾濫地域はこの50年間、どうなったか。恐らく日本で一番人口が増えたところです。そして困ったことに、日本で一番地盤沈下が進んだところです。東京東部の沈下は止まりました。亀戸の駅のところの地盤が東京湾中等潮位から4メートル半低いところにあります。東京の東部の人は海底に当たる低い処に何百万も住んでおられるんです。
地盤沈下が起こりますと地下水規制をします。そうすると止まります。ところが、地盤沈下しないと地下水規制をしないんです。ほんとはその前にやれればいいんですけれども。地盤沈下がだんだん北上しまして、今、日本で一番地盤沈下してるのは栗橋のあたりです。栗橋とか鷲宮とかが、今、日本で一番地盤沈下しています。利根川の堤防も、1メートル半ぐらい下がってます。建設省は沈んだ分はかさ上げはしてます。ただ、あの社会的費用は地下水の値段ですね。
ともかく日本で一番地盤沈下が進んだところ、人口が非常に増えたところ、この50年間に。ですから、切れたら大変な被害になるということを申し上げたいわけです。