本講座の開催にあたって
原 文兵衛 当協会会長 前参議院議長 元環境庁長官
司会 おはようございます。また新年明けましておめでとうございます。本日は社団法人日本ナショナル・トラスト協会の5周年記念事業であります、こちらにタイトルいたしましたが、「21世紀につたえたい環境」というテーマでの「環境とナショナル・トラスト講座」を開催いたしましたところ、このように非常に条件の悪い東京の突然の雪の中をお越しいただきまして、まことにありがとうございます。
早速、歴史環境、自然環境の保全、あるいはナショナル・トラスト運動は日本の環境をどのようによくして未来の子供たちに贈ってゆけるかということを考える多彩な先生方をお招きした「環境とナショナル・トラストの講座」を開催させていただきたいと思います。
まず最初にこの講座の開催に当たりまして、私どもの社団法人日本ナショナル・トラスト協会会長であります原文兵衛会長よりご紹介を申し上げます。原文兵衛会長をご紹介いたしますが、前参議院議長、元環境庁長官でもあります。よろしくお願いいたします。(拍手)
原 おはようございます。私、ただいまご紹介いただきました当協会の会長を仰せつかっております原文兵衛でございます。社団法人日本ナショナル・トラスト協会、社団法人として発足いたしましてからちょうど5年たちますので、5周年記念にこの講座を開いたわけでございます。きょうは全く大変な雪になりまして、足元の悪いところをお出ましいただきまして、まことにありがとうございました。
実は私、16年前、1982年ですね、昭和57年ですか、環境庁長官をしておりまして、そのときにイギリスで1895年に発足したナショナル・トラストという自然環境と、あるいはまた歴史的な建造物、その他を守る非常にすぐれた組織があるということを聞きまして、環境庁長官のときに、イギリスロンドンのナショナル・トラスト本部を訪れまして、当時の会長サー・ギブソンとポールという事務局長にお目にかかり、約1時間ばかりいろんなことをお話を伺いました。
そして、またザ・ナショナル・トラスト協会が所有しているいろいろな海岸線だとか、あるいは邸宅、そういうようなものを拝見しようと思って現地を訪れました。まず行きましたのがドーバー海峡に面したバーリンギャップという断崖、すごい断崖なんですね、 ドーバー海峡に面した。その断崖の海岸線、そしてまたその断崖の上にある草地、それはみんなナショナル・トラストが買い取っておったんですね。それを見に行きました。 なぜこんな、断崖はよく分かるんですが、上にある草地なんていうのは、ちょうど雨上がりで途中までしか行けませんでしたけれど、広い草地なんです。それを買い取っている。どうして買い取るんだと言いましたら、これはナショナル・トラストで買い取っておかないと、しばらくするとみんな別荘地になってしまって、これが台無しになってしまうというんで、その断崖絶壁の海岸線だけじゃなくて、それを守るために、その上の相当広い草原まで買い取っていった、そういうことをやっていました。
また、その年、同じ年でございますが、ロンドンから車で1時間ぐらい南の方になるんでございますけれども、ポールスデン・レイシーという町がございまして、そこに