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ものである。図4に見られるように、当面の目標速度40m/s(150km/H)で車体蛇行動を消滅させることができる左右ばね定数の値が存在することか分かる。しかし、左右はね定数をあまり小さくし過ぎると台車蛇行動の限界速度が大きく低下する。また、左右はね定数を小さくすると走行中の車体の横偏寄量も問題となる事も考えられるので、左右はね定数を5*105N/mより少し大きくして車体と台車を結んでいるリンクの回転剛性との関係について検討した。

 

リンクの回転剛性の影響

kTYを3段階の一定値にして、リンクの回転剛性に対応するばね定数kBVと限界速度との関係を求めた結果を図5に示す。kTY=5*105N/mの場合、kBY=0のときには車体蛇行動は発生していず、kBYを増しても暫く安定域が存在し、その後不安定域が現れる。kTY=10*105N/mではkBY=0で車体蛇行動が発生しているが、kBYを与えると不安定領域の幅が小さくなりやがて消滅する。更にkBYを増すと再び車体蛇行動の不安定領域が現れる。このときは車体ヨーイングを伴う車体蛇行動となる。次に、kTY=20*105N/mと高くすると下心ローリングと車体ヨーイング蛇行動の間の安定領域がなくなる。

この結果より、適当なリンク回転剛性を選ぶことにより、車体蛇行動の安定領域が拡大されることが分かったことは興味あることといえる。

 

(4) リンク案内方向と蛇行動安定性

鉄道車両では前進、及び後進の両方向の運転が行われるのが一般的である。このため3項の解析ではリンクは車両の両端部と台車を結ぶ点対称の構造とした。しかし、この解析では、リンクと車体の結合の方向について情報を得ることができないので、車両の進行方向に対し同一の方向にリンクを配置した場合についてその蛇行動特性を調べることとした。

図6に示すように、台車前方にリンクがある場合をType B、台車後方にリンクのある場合をType Cとして、それぞれについて固有値と速度の関係を求め、枕ばね左右ばね定数と蛇行動限界速度の関係を図7に示した。

この結果、Type Bでは最初の点対称リンク配置と逆に枕ばねのばね定数の小さい領域に蛇行動の不安定が現れ、ばね定数の大きい領域で車体蛇行動が安定となる。これに対し、Type Cでは車体蛇行動の不安定領域が消滅してしまった。この結果は、だい八車を前から引っ張るのと後ろから押す場合との相違についての議論と似ているように思われる。即ち、Type Cでは蛇行動は発生し難いが、一旦発生すると台車蛇行動のような激しい車体蛇行動が発生することがあるとゆうことである。従って、この結果については更に掘り下げた検討を行い蛇行動安定性の向上に結びつくようにしたい。

 

 

 

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