4) Frederich教授の意見
革新的な台車を次々と発表しているドイツアーヘン工科大学のFrederich教授を訪問し、1軸台車について以下のような意見を得た。
鉄道車両の車体は、アルミやFRPのような軽い材料の利用により、軽量化が進んでいる。そのため、線路の許容軸重よりはるかに小さな軸重で使用しているが、これはもったいない。そこで、許容軸重の限度まで車体を長くして収容力を増やそうとすると、曲線における車体偏奇で車両限界を犯すこととなり、それだけ車体の巾は狭くしなければならなくなる。これでは1列4座席が確保出来なくなるし、また台車間隔が長くなることにより、荷重で車体の曲げたわみが大きくなるため、車体の剛性を上げなくてはならず、重量が増えてしまう。
一方、連接車にすれば、台車の数を減らすことは出来るが、長い連接車両では曲線偏奇の点からは、通常の2軸ボギー車両と同じで、車体巾を狭くしなければならないのみならず、車体のオーバーハング部分がなくなることにより、車体中央の曲げたわみは大きくなる。その結果、車体の剛性を上げると重くなり、割高になる。これに対し、連接車の車体を短くして重量を下げ、1軸台車にすると、車体が短くなった分だけ曲線における車体偏奇は小さくなり、車体巾を広げることが出来る。これにより、従来1列4座席のところを1列5座席とすることも可能となる。しかし、連接車両は、オーバーハング部分がないから、車体中央での曲げによるたわみは車体長が短いにも拘わらず、従来車と同様な程の大きさとなる。そこで、連接車にせず、オーバーハング部分を設けて1車両に1軸台車2台を持つ2軸車両にすると、車体の曲げたわみも小さくなり、しかも車体巾も短い連接車と同じだけ巾広にすることが出来る。(図37参照)
したがって、今後は1軸台車を用いた2軸車両が有望である。この構想は、デンマーク国鉄の技術陣に採り入れられ、座席肘掛部分での車体巾3.6m、1列6座席(ラッシュ時)の画期的なSバーンの車両として実現された。