によりチュメニ州に属していたという事情と、ロシア憲法によってすべての構成主体が同権であるとされたという現段階におけるもうひとつの性格を考慮にいれなければならないとした。そのうえで、ロシア憲法にはこのような構成主体の権限区分の特殊性については直接に定められておらず、ロシア憲法66条にいう連邦法または条約が欠如しているため、憲法裁判所は、チュメニ州とそれに編入されている自治管区の相互関係について具体的な条件を定める条件が整備されていないことを理由に、連邦法または自治管区の国家権力機関と州の国家権力機関のあいだの条約にもとづいて、チュメニ州とそれに編入されるハンティ・マンシ自治管区およびヤマロ・ネネツ自治管区の関係が調整されるまでのあいだ、チュメニ州憲章の一連の規定の合憲性審査事件の審理を延期するとし、チュメニ州、ハンティ・マンシ自治管区、ヤマロ・ネネツ自治管区の国家権力機関に対し、構成主体の同権の原則にもとづき、かつ自治管区の州への帰属という事実を考慮して、管轄事項および権限の区分に関する問題をめぐっての不一致を速やかに解消するよう勧告するとともに、連邦議会に対し、憲法66条の定めるしかるべき連邦法の準備および制定を急ぐよう求めたのである。
? 次いで、97年夏には、同じくチュメニ州に編入される自治管区の地位に関連して、州および地方(クライ)への自治管区の編入について定めるロシア憲法66条の解釈をめぐって判決(1997.7.14)が出された(97年7月22日付「ロシア新聞」)。
チュメニ州とふたつの自治管区の議会が、憲法66条の解釈を求めた事件であるが、チュメニ州議会および行政長官(知事)の選挙に自治管区の住民が参加すべきかいなかについて州と自治管区のあいだで対立が生じたことに端を発している。チュメニ州憲章の合憲性審査事件を引き継いだ事件でもある。憲法裁判所は、先の判決を踏まえつつ、連邦の構成主体として州と自治管区が同権であることを再確認しつつ、自治管区が州または地方(クライ)に編入するということは、州または地方(クライ)が単一の領域と住民をもつことを意味し、自治管区の領域と住民はその一部をなし、その国家権力機関の権限は連邦の法律、当該構成主体の法律およびそれらの国家権力機関のあいだの条約の定める場合にその範囲内で自治管区の領域にも及ぶことを意味していると判じた。そして、こうした条約の不存在は、州または地方の国家権力機関の権限が自治管区には及ばないということの根拠とはなりえないとも論じている。
結局、憲法裁判所は、構成主体としての同権ということを確認したうえで、州の議会および知事の選挙を自治管区がボイコットすることを認めなかったのである。チュメニ州は、ふたつの自治管区とそれらを除く領域とがほぼ二等分されるという構成になっており、しかもそれぞれに地下資源などを豊富にもつ「豊かな」