? 自治州、自治管区の立法機関および執行機関の提案により、自治州、自治管区に関する連邦法律を制定することができる。
? 地方(クライ)または州の構成に入る自治管区の関係は、連邦法律および自治管区の国家権力機関と当該の地方(クライ)または州の国家権力機関のあいだの条約によって、これを規制する。
? ロシア連邦の構成主体の地位は、連邦の憲法法律にしたがって、ロシア連邦およびロシア連邦の構成主体の相互の同意によりこれを変更することができる。
問題を複雑にしているのは、この第4項にかかわる。現在10ある自治管区のうち、チュコチ自治管区は、1992年にそれまで編入されていたマガダン州から分離し、直接に連邦の構成主体となったため、残りの九つが連邦構成主体でありつつ、同時に地方(クライ)または州の一部ともなるという二重の性格をもつこととなったからである。チエコチ自治管区の分離に関する92年法が憲法規定によって追認された格好になっている。
ここでいう自治管区は、コリャーク(カムチャツカ州)、アガ・ブリャート(チタ州)、ウスチ・オルディン・ブリャート(イルクーツク州)、エヴェンク(クラスノヤールスク地方)、タイムィル(クラスノヤールスク地方)、コミ・ペルミャーク(ペルミ州)、ネネツ(アルハンゲリスク州)、ハンティ・マンシ(チュメニ州)、ヤマロ・ネネツ(チュメニ州)、それに直接にロシア連邦に属するチュコチである(括弧内はそれぞれの自治管区が属する地方(クライ)または州)。自治管区というと、領域的にも人口的にも小さなものとイメージされがちであるが、けっして小さなものではない。たとえばコリャーク自治管区はカムチャツカ州の北半分を占めているし、ハンティ・マンシとヤマロ・ネネツのふたつの自治管区は、チュメニ州のそれ以外の領域よりもはるかに広いし、人口も州全体の6割近い。
ある憲法コンメンタールによれば、地方(クライ)または州と自治管区のあいだの相互関係は、協力関係にもとづいて打ち立てられ、当該構成主体の憲章および自治管区の国家権力機関と地方または州の国家権力機関のあいだの協定によって規律することができるとされている。また、この協定によって、自治管区の国家権力機関の権限の一部を地方(クライ)または州の国家権力機関に委譲することについて定めることもできる。さらに、こうした相互関係は、憲法にしたがい、しかるべき連邦法によっても規制することができることになっている(5)。
しかし、いまのところそうした法律は制定されていない。そのために、自