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(3)新首都における地方行財政サービスの供給責任

 

ア 首都機能と一般都市機能

行政ニーズを首都機能に係る部分(警察、外交等)と都市機能に係る部分に分けると、首都機能に係る部分は、自治体行政を超えるものであり、この建設は国が責任をもってこれを行うべきである。

都市機能に係る部分は一般的財政需要であるから、基本的には、地元の地方公共団体が責任をもってこれを行うべきであるが、首都機能移転においては、移転に伴い新首都地域の人口が急激に増加すること、受皿となる地方公共団体の財政力が脆弱であること等が想定されるところであり、さらに、新首都建設という極めて国家的なプロジェクトの遂行という特殊事情にかんがみれば、通常の国・地方の役割分担では律し切れない部分があると考えられ、国の積極的な役割が期待されるところである。

なお、首都機能移転時における公共施設整備に関する国と地方の行財政責任についてはすでに前節でふれたが、移転後の都市の成長プロセスに応じ必要となる公共施設の整備とその維持管理についても国と地方公共団体の責任のあり方を検討しておく必要があろう。

イ 現行の首都機能としての特例

現在、首都であるということで、東京都あるいは首都圏を対象として特例がいくつかあるが、それらのほとんどは大都市なるがゆえの特例であり、純然たる首都機能としての行政は意外に少ないのではないかという意見があった。

ただし、現在の制度は首都機能と大都市機能が整理されないで混在しており、この点については、首都機能を移転させることで問題が純化されるのではないかという意見があった。

 

 

 

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