2 首都機能移転についての最近の論調
首都機能移転については、昭和30年代頃から多くの論議があったが「国会等の移転に関する決議(平成2年11月)」が国会で可決、平成4年12月には「国会等の移転に関する法律」が制定され、同法に基づき設置された「国会等移転調査会」が平成7年12月に内閣総理大臣に対して報告を行ったところである。
現在は、「国会等の移転に関する法律」の改正により設置された「国会等移転審議会」で国会等の移転先地の候補地の選定等について審議しているところである。
このように首都機能移転をめぐる論議は本格化しているが、移転に積極的な意見と消極的な意見があり、次に両者の代表的な論調を紹介する。
(1)首都機能移転に積極的な論調について
・首都機能移転により、地方分権、行政改革が促される。
東京一極集中と強烈な官僚規制が、高コストで不自由な社会をつくっている。一括移転は経済的であり、時代の閉塞状況を打破できる。また、江戸開幕以来約400年を経ており、東京も首都機能移転が必要な時間軸のうえにある。
・日本の歴史において何度か首都機能の移転が行われてきたが、移転することによってプラスばかり、つまり大変めでたい結果ばかりであった。
(地震によって)今の複雑な日本の行政機能が麻痺すると、日本は少なくとも数年はほとんど開店休業になるだろう。
土地問題、地方自治をきちんとして移るべき。土地投機を防ぎ、特別法ができあがって初めて首都機能移転であって、そうすると日本史において首都が変わるたびに日本は良くなったということが言える。
・東京一極集中の是正、災害対応力の強化、都民の生活改善が首都機能移転の原点。首都機能移転は、東京の再開発に比べて経費的にも優位であり(移転は14兆円、再開発は20〜30兆円)、国民にも喜んでもらえる投資ではないか。
・全ての面で東京に集中しすぎている。地方分権が進めば首都機能移転は不要ということも言われるが、これまで分権を試みたが、成し得なかった