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り住民は自分たちの生活を行政に信託しているような環境にあるため、地方団体を破綻させる訳にはいかないと思われる。

 

6 組織の自己再編

○ 企業であれば当たり前の自己編成が地方団体では困難な状況となっているが、1つの要因として、自治体の事務がほとんど全部法律で縛られていることが挙げられよう。

○ 地方分権というのは、国全体でのルールを原則撤廃し「それぞれの地方団体ごとに判断して構わない」という領域を広げようという話であるが、広げた後は野放しでいいか、勝手にやっていいのかというと、今の状況ではそうはいかない。地域ごとにそれぞれの公共性にかなったやり方とは何かを検討し、住民が納得するような形でそれを進めていくような仕組みが現在のところほとんど成り立っていないのではないか。

 

7 組織の自己再編を可能とする条件

○ 地方団体を専門的に経営するプロフェッショナルを導入し、そのプロフェッショナルが互いに競争する環境を作り出せれば、また、地方団体の自主財源がもつと認められれば状況も少しは変わっていくと考えられる。

○ 財源についても、その量的な獲得に力を入れるような仕組みではなく、一定額の一般財源を保証して、あとは地方団体が使い方を競争する形とすべきでないか。

 

8 地方分権と組織の自己再編

○ 地方分権が進んでいくと、地方団体の自己再編も進んでいくと思われるが、どういう環境であれば自己再編が望ましい方向に行くのかが肝心な点である。その際に情報公開が進んでいないというのは大きなネックになる。

○ 政策案を作成する際にはコラボレーションがないと良いものはできないが、大人数が政策決定に参加する訳にはいかない。従って少人数で検討することになるが、その前提として傍聴を自由にする等政策決定の過程を公開し、チェック機能を働かせることが必要である。

○ またチェック機能の面だけではなく、代替案作成を可能とするためにも、情報公開は制度環境として重要である。

○ 財政面で言えば、基礎的自治体には、少なくとも財源保証は必要であるが、その使途について外見で分かるルールを作らざるを得ない。それは現在の会計検査院等の分かりにくい内容ではなく、本当に良い使い方をしているかどうかがまず地方団体の中で評価を受けるような仕組みをつくることが必要である。

○ それらを含めて、情報化を単に効率化だけでなく、効果的に使用する研究が必要と考えられる。

 

 

 

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