もって、組織行動を規定しているという見方もできる。
また、戦略が組織形態を規定するとした場合、組織の環境認知の問題が出てくる。環境認知が違うと戦略立案も、人の評価もまるで違ってくる。この環境認知の限界(認知特性)は、戦略立案に常につきまとう問題であろう。
もし、戦略、組織形態、人材の三者の相互関係を前提とすると、この相互関係のどの要素から入って、組織活動を変革したらいいのか、という話になる。それはケース・バイ・ケースになるであろうが、重要なのは、この三者の関係性のあり方をしかと認識することではなかろうか。
(5) 組織の変革促進
企業の意思決定や行動により影響を受ける者を「ステークホルダー」というが、どのような人々がステークホルダーになるかは、日本とアメリカとでは大分異なる。
日本の場合、一般的に株主があまり強くなく、企業経営は大部分トップの意向で決まる。一方、アメリカの場合は株主が極めて大きな権限を持ち、トップは株主から権限移譲を受けて行動するとことになる。
また、取締役のあり方も両国間で大きく異なる。日本の取締役は一種の「上がり」ポストであり、過去の業績を評価された者がその見返りとして与えられるポストである。また、「取締役」の文字が示すとおり、取り締まる、すなわち「管理業務」を志向するポストである。一方、アメリカの場合は「ディレクター」であり、「方向付け」を行なう、すなわち、経営方針、ポリシーを決定する者である。したがって、社外取締役が多く、彼らは株主の意向を受けて行動するのである。勿論、アメリカ流の取締役のほうが日本流のそれより万事において優れているかと言えば、必ずしもそうではなく、株主が短期的な要求をし過ぎるがゆえに、企業として長期的な戦略をたて難いという弊害も生じる場合がある。しかしその分情報公開が進み企業経営の透明性が高まるため、癒着などの問題は起こりにくい。
株主、経営トップ、取締役の3者が企業に自己編成させる、あるいは変革を促すスタイルは、日米を比較した場合、以上のような背景から大きな違いがあると考え