しかしながら、今後は起債の抑制に取り組んでいく必要があることから、事業費がかなり落ち込むことも予想され、投資的な施策に対応していくことは非常に厳しい状況にある。
また、これまで財源不足対策に用いていた基金の残高も大きく減ってきており、土地の売払いなども限界があることから、今後は投資的経費に限らず義務的経費やその他の経費についても相当削減していく必要がある。
以上が、川崎市が今回の改革を行うに至った財政面の背景である。
(2) 行財政システム改革の推進に向けた川崎市の取組み
ア 行財政システム改革のこれまでの取組み
平成7年4月に、庁内の体制として、市長を本部長とする「パワーアップ川崎・推進本部」をつくり、もう1つ市民意見などを聴く場として「パワーアップ川崎・懇談会」をつくった。財政を切りつめるという話だけでは非常に暗いイメージになるので、逆にパワーアップしていこう、ということでこのような名称の懇談会とした。
懇談会は森田朗・東京大学教授を座長として、学識経験者のほかに個人・団体、マスコミ、経済界及び労働界の市民代表を加えた計15人の構成で活発な議論を行い、平成7年10月に市長への意見報告を行った。一方推進本部では、これを基に同年11月に「行財政システム改革の推進に向けた基本方針」を作成した。
イ 「行財政システム改革の推進に向けた基本方針」について
基本方針については、川崎市がこれからどういった方向を目指して改革をすべきかを多少理念的な話も含めてきちんと唱っていこうということで、熱を入れて作成した。
従来、改革というと業務の効率化による経費の節減のみを追求してきたきらいがある。しかし今後は、非常に困難な課題ではあるが、やはり市民サービスの質を落とさないで効率化を図っていかなければならないと考え、これをテーマとし