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るケースが発生しかねない。もうひとつは、行政からの干渉の少ない公益信託による「まちづくり基金」を設定し、その果実で住民活動を支援する手法が考えられる。

公益信託は、信託法に基づき基本財産を信託しその運用益で助成を行う制度である。この仕組みのメリットは、事務的なことは信託銀行が担うため、事務局経費がかからず合理的なことである。また、この基金による支援の決定については、寄付者や出資者の意向に左右されず、中立的立場を維持するため、学識経験者などで構成された運営委員会を設置することが望ましいだろう。

 

? ルールづくり

自治体として重要なことは、地域の特性を生かした、すなわち、地域の自然的、社会経済的、文化的環境を生かした豊かな地域をつくることである。地方自治の存在意義もそこにあるといってよい。それゆえ、共に考え、共に協議を通じて住みよいまち、魅力的なまちを創出するために、住民の参加ルールをつくり、そのルールにしたがって良好な環境の保全や整然とした美しい町並みなどに改善していくことが重要である。

このようなルールには、すでに建築協定制度や地区計画制度がある。これらをまず十分に活用することが必要だが、地域の特性を生かしたまちづくりを行うためには、これだけでは不十分であるし、なによりも地域の個性や住民の意思を十分に反映できない。それゆえ、その地域に適した「まちづくり条例」を制定することが最も重要である。

しかし、まちづくり条例があるというだけでは、まちづくり組織が活発に活動しない場合や、住民の策定するまちづくり計画が自治体の総合計画とうまく調整が取れない場合もある。これらの課題に対処するために、今後、自治体は積極的にイニシアティブ(主導)を取り、住民参加を踏まえた条例の趣旨を住民に周知させ、各まちづくり計画と調整を図っていく必要がある。

 

 

 

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