日本財団 図書館


[廃校事例] 過疎に打ち勝ち、自信を取り戻した住民

福島県南会津郡南郷村

 

発端:

浦和市民との交流を核にして浦和市と南郷村の希望が合致

? 昭和35年ころから過疎化傾向が顕著となり、観光に活路をみいだそうとした昭和50年、「山村と都市共同の山村振興モデル事業」の補助を受ける。

? 村の希望は、過疎化を食い止め、農山村の良さを知ってもらい、農村の振興、地場産業の発展を理解してくれる相手を探すことであった。

? 埼玉県浦和市でも、第二のふるさとづくりの構想を持ち、候補地を検討していたが、偶然ある研修で両者の職員が同席したことを契機として相手を知り、提携に向けて動き出した。

? 当初浦和市は、あまりにも遠く離れていることと南郷村が辺鄙なことに驚き、提携には消極的だった。しかし豊かな自然と村民とのふれあいを深めていくうちに次第に考えを変え、数度にわたる細部打ち合わせを経て、昭和50年11月4日、提携に至った。

経緯:

? 南郷村は、宿泊施設が少なく、交通手段がままならない。そこで、廃校となった和泉田小学検の校舎を利用した「南郷ふるさとの家」を昭和52年4月に開設したところ、浦和市青少年の合宿や研修会として利用するなかで村の青少年との文化、スポーツ交流が活発に行われるようになり、南郷村と浦和市との交流が軌道にのるようになった。

? 施設は木造2階建て、各教室を宿泊室として9部屋62人定員で、年間約2,000人が施設を利用している。

? 南郷スキー場の来客も年々ふえていった。

? 通年の観光リゾートとして、スキー場ゲレンデ脇には「南郷キャンプ」が新設されて、自然とのふれあいの場が一層多くなった。

? 昭和50年には、年間5,000人程度であった入り込み客が、提携後は紀南川のアユ釣り、キャンプ場の整備、スキー場開発など四季を通じた誘客に力をいれ、現在では全国各地から、10万人以上を受け入れるに至った。

? 旅館や民宿等のサービス業が次第に増えはじめ、観光協会の観光案内業務も充実してきた。

? 昭和63年10月、通年の施設「ホテル南郷」がスキー場付近に新設されるにいたり、年間2万人以上の浦和市民が南郷村を訪れるようになり同施設を温泉施設にするため掘削工事を行ったところ毎分80〜901の温泉が噴き出し、今後の誘客が大幅に飛躍するものと大きな期待を寄せている。

村民に活力がよみがえる。

成果:

? 都会で流出していた若者の回帰現象がみられ、村内に活気があふれた。

? 大きな経済効果を生んだ。村民の意識も都会の人々の日常的なふれあいのなかで都会へのコンプレックスが解消され、自信にもつながっているようだ。

? 村の産品開発、観光開発が一層盛んになるものと考えている。今後は民家へのホームスティなどを計画しており、これらを含めて人的交流の面でも一層の拡充を図る。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION