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2 住民向けGISの構築イメージ

 

本節では、前章までの調査結果及び前節で述べた課題をふまえた上で、本市における住民向けGISの構築のイメージを提示する。

 

(1)情報の提供方法について

 

前章でも述べたように、地図情報を提供する手段としては、インターネット、ファクシミリを用いた方法、また住民の申請に対し職員が操作して地図を出力して提供する方法が考えられるが、時間や場所に制約されず、わかりやすい地図の情報を提供する手段としては、インターネットが有力な手段と考えられる。

インターネットを用いると、個人の活動時間帯や情報源からの距離に関係なく、24時間、自宅からでもサービスを利用できるほか、カラーの地図を、ユーザーの必要な範囲で即時に入手することができる。また、双方向の通信ができることも大きな特徴で、行政側からの情報提供だけでなく、住民自らの情報発信も可能であり、特に災害時の情報提供手段として、先の阪神淡路大震災の際にその有効性が認められた。また公共施設などにインターネット端末を設置することにより、施設の開館時間内にしか利用できないという制限や施設まで出向く必要があるが、自宅にパソコンを保有しない住民に対してもサービスを提供できるとともに、既存の施設の情報拠点化という効果も得られる。

アンケート結果から、本市におけるインターネットの利用率は8.2%と低く、当面はファクシミリを用いた運用や、住民からの申請に対して職員が操作をして地図を紙に出力し、郵送で住民へ提供するという方法も併用せざるを得ないが、提供できるサービスは限られ、近い将来にはパソコンやネットワークコンピュータ、インターネットテレビなどの普及に伴ってその利用率は増加するものと思われる。こうした動向に合わせ、インターネットを用いた情報提供を積極的におこなうとともに、住民の情報リテラシー(情報を処理・利用する能力)の向上を図ることが必要である。

 

(2)情報の提供内容について

 

本システムの利用促進を図るためには、提供する内容の充実を図ることが重要である。住民にとって魅力的な内容が豊富に用意され、常に最新の状態に更新されていなければその利用は望めない。住民アンケートの結果から、医療や防災、福祉に関する要望が多かったが、ニーズの多いものが必ずしも利用頻度の高いものではないということに留意する必要がある。

提供の内容や表現の方法について、第1章でも述べた通り、地図による表現は空間的な広がりを表わす際に、文字や数値に比べてわかりやすい場合が多い。ある地点から目的地までの道順や、ある条件を満たす事象がどこに分布しているかといった内容を表現するには地図が適している。またGISは、地図とそれに関連する写真やグラフなど様々な情報を扱うことができる。

以下に、インターネットとGISの特徴をいかし、行政情報を有効に利活用できる提供内容について、医療・福祉(図表4-1)、防災(図表4-2)、教育・生活文化(図表4-3)、都市整備(図表4-4)、観光・産業(図表4-5)の各分野における利用例を示す。

 

 

 

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