ウ 建築基準法
特定行政庁は建築確認の申請に関する図書のうち、その計画が諸規定に適合するものであって建設省令で定めるものについては、建設省令で定めるところにより、閲覧の申請があった場合には、これを閲覧させなければならない(法93条の2)。また、これらの図書を閲覧に供するため、閲覧の場所及び閲覧に関する規程を定めてこれを告示しなければならない(施行規則第11条の7)。ここで特定行政庁とは、建築主事を置く市町村の区域については当該市町村の長をいい、その他の市町村の区域については都道府県知事をいう(法第2条36号)。
エ 統計法
統計法では、指定統計調査の結果知られた人、法人またはその他の団体の秘密に関する事項については、その秘密は保護されなければならないこととされ(法第14条)、その秘密を漏らしたり窃盗したりした場合の罰則が設けられている。さらに、何人も総務庁長官の承認を得て使用の公示をしたものを除き、指定統計を作成するために集められた調査票を統計上の目的以外に使用してはならないこととされている(法第15条)。
上記の秘密保護の対策は調査対象の人、法人またはその他の団体などとの信頼関係を維持し、正確な申告を得ることを通じて統計の真実性を確保するために設けられている。
オ 道路法、下水道法、都市公園法、河川法
道路、公共下水道及び都市公園の管理者はその管理する道路、公共下水道及び都市公園の台帳を作成し保管しなければならず、その閲覧を求められた場合はこれを拒むことができない(道路法第28条、下水道法第23条、都市公園法第17条)。
河川においては河川の台帳の作成と保管が義務付けられており、その閲覧を求められた場合は、正当な理由がなければこれを拒むことができない(河川法第12条)。
(3)住民向けGISでの適用
情報の閲覧については、申請書の有無、正当な理由の有無などの規定がある。また、閲覧を含む目的外の利用そのものが禁止されている場合がある。
これらのうち、申請書が不要で閲覧の理由が必要ないもの(道路台帳や都市公園台帳)を情報提供するには、提供の是非という点では問題がない。しかし、住民基本台帳のデータなどその閲覧に正当な理由が必要なものについては、閲覧の理由を確認すること及びその是非を判断することが必要になるため、一般住民に向けての情報提供はできない。
自治省では、「高度情報化通信社会に対応した地域の情報化の推進に関する指針」のなかで、住民との情報交流という視点から、行政情報の提供を推進するよううたっており、行政内部で蓄積された情報の提供については、今後、進展して行くものと思われるが、前述の様な現行法規のなかでは、その範囲と手段について、一つ一つ審議し検討することが必要である。