4 民間企業におけるGISへの取り組み動向
GISは、官公庁だけでなく民間企業においても様々な形で利用されている。特に昨今は、従来に比べ安価なGISソフトウェアやデジタル地図の出現、前述の国の取り組みなどが要因となり、民間におけるGISへの注目度も非常に高いものとなっている。
民間におけるGISへの取り組み動向をみると、主に施設の管理・計画、マーケティング、物流、防災・災害対策、移動体追跡などの分野で様々な利用がなされている。
(1)施設管理
施設管理の分野においては電力、ガス、通信、ケーブルテレビ、移動体通信などの広範囲にわたって大規模な施設を保有する企業において取り組みがおこなわれている。また、これらの企業の内、電力会社において新設する送電線のルート検討などにGISを利用している事例があるのを始め、施設の設置計画業務における取り組み動向もみられる。また、類似するものとして、建設会社における自社施工物件の管理や、不動産業における物件管理などの利用事例を挙げることができる。
(2)マーケティング
マーケティングの分野においては、様々な業種で多様な利用事例がみられる。顧客情報や各種統計データを地図と結び付けてデータベース化し、ガス会社、ファーストフード、コンビニエンスストア、量販店、スーパーマーケット、銀行、保険会社、広告代理店などの様々な企業において、顧客管理、既存店舗評価、出店計画、競合分析、商圏分析、広告・宣伝などの業務でGISを利用している。
(3)物流・運輸
物流の分野においては、道路ネットワークデータを利用し、運送会社、石油販売会社、家電量販店などで配送テリトリの最適化、配車計画などの業務における利用例がみられる。