序章 調査研究の目的
1 調査研究の目的
住民の行政サービス向上に対する要請が高度化、多様化することが予想されるとともに、地方の行政改革や地方分権が強く求められている状況も踏まえて、自治省では、平成9年7月に「高度情報通信社会に対応した地域情報化の推進に関する指針」を取りまとめた。この指針では、「住民サービスの質的向上、新たな住民サービスの提供、住民負担の緩和、住民参加型の行政の実現などのために、住民ニーズに適合した情報通信システムが必要である」と指摘している。
一方、情報化社会における社会基盤の一つとして、国土の基本骨格となる地図データ(国土空間データ基盤)を整備し、地理情報システム(GIS=Giographic Information System)の整備と利用促進を図っていくことの重要性は、平成8年6月、GIS関係省庁間連絡会議においても指摘されている。またこれに先駆け、一部の地方自治体においては、様々な地図データと、GISの整備を進めてきており、主として、行政事務のOA(Office Automation:電子機器やシステムを利用して、仕事の生産性を向上しようとするもの)化の一環として運用を開始している。
地域に係る情報の多くは、その「位置」の情報と密接に関係していることから、GISは、地域の情報化を推進する上でも活用できる場面が多い。
この様な背景を踏まえて本調査研究は、各地方自治体の行政事務のOA化の一環として整備されている「GIS」について、さらに地域情報化に利活用することを目指した場合の、制度上、運用上の課題を整理し、実用化に向けての調査検討をおこなうものである。
2 調査研究の対象
調査研究の対象について、GISの先進自治体の一つで、庁内の様々な部署でGISの運用がおこなわれている京都府城陽市を選定した。
3 調査研究の方法
調査研究は目的別に、以下に示す3種類の方法で実施し、調査結果にもとづき、課題整