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● 高齢者など幅広い来訪者の快適な自然・野外活動をサポートするため、主要な活動拠点施設はバリアフリー施設とする。

 

《山林のレクリエーション活動の事例》

 

◇ 島根県宍道町

ふるさと森林公園

島根県と宍道町が共同で野鳥の森、きのこの森、昆虫飼育観察室、遊歩道などを整備し、来園者がいつでも多彩な森林に触れ、森林を学習体験できる機能をもたせている。イベント会場、キャンプ大会会場など、本格的な野外の交流拠点施設としても活用されている。

近隣5市町の出資による財団が森林環境保全の調査研究ならびに来園者に対する自然観察会、探鳥会、木工教室開催などの活動を行っている。

 

◇ 山形県小国町

観光ワラビ園/朝日山麓リゾート基地・ふるさと学生村

町内に里山を利用した観光ワラビ園が10ヶ所ほどあり、5月下旬〜6月下旬に2千円程度の料金でワラビ採りと山菜汁のサービスを行っている。集落活動の一環として毎年火入れ管理をし、地域の活性化に役立てている。

また、残存するブナの原生林を活かした自然レクリエーションの場の整備も同時に行い、交流基地として活動の拠点となる「荒川リバーサイドパーク」、宿泊研修が可能な「白い森交流センターりふれ」、木地づくりが体験できる「木工館」、オートキャンプ場、親水施設などがある。

 

◇ 香川県

どんぐりボランティアネットワーク/交流の森づくり

どんぐりの「預け入れ」と苗木の「払い出し」を手段として子供たちを森づくりや自然観察会へ参加させることによって緑化推進、普及・啓蒙を図る。また上流の高知県大川村と共同で「交流の森」づくりに取り組み、大川村の村有林を借りて共同で地ぞらえ、植樹、下刈りなど森を育てていく活動を継続的に行い、地域間交流の芽が育ちつつある。

 

ウ “農”のレクリエーション

農業とレクリエーション活動の連携は、新しい農業形態のひとつとして様々な取り組みがおこなわれている。例えば、収穫型として観光農園(果樹、野菜、山菜など)やオーナー農園、採農参加型として田植え、稲刈り、果実の摘果等、観察型として果樹・薬草等見本園、栽培展示園、温室等、体験型として体験農園、体験牧場などがある。

本地域では既に観光農園やオーナー農園などの取り組みがみられるが、地形や気候、実際の栽培種などの状況から、より幅の広い形態のレクリエーション型農業が可能であると考えられる。なかでも、グリーンツーリズム的な観点(特に地域との交流や産業振興の面で)からみて、観賞や収穫のみの形態ではなく参加や農業文化体験を伴うタイプのレクリエーション活動の展開が効果的であると考えられる。さらに、エコロジーの観点から「粗放化農業」という形態も想定可能である。これは、農村の有するエコロジカルな空間の質を高めるために農薬をできるだけ使わず過剰な生産を抑制し、自然を求める都市住民に対して魅力ある農村環境を形成していくもので、グリーンツーリズムを支える大きな要素であると認識される。そのような取り組みは、今後の本地域における農業の新しい側面を示すものでもある。

 

 

 

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