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イ 今後のレクリエーションニーズの展望

 

前述した全国、東京圏における住民のレクリエーションニーズなどから、レクリエーションの今後の動向について以下のように読みとることができる。

 

(ア) 余暇活動における自然指向の高まり

旅行先における活動として、自然とのふれあいや季節の風景鑑賞の人気が高く、また日常的にも地域の自然環境の保全活動への参加意欲も高い。また近年、職場や学校における各人のストレスの増大も指摘されている。したがって、余暇活動においては、仕事の疲れなどを癒すため、大自然を体感したり生物などを観察することにより自然に親しむという行動は今後もさらに高まるといえるだろう。

 

(イ) 健康・スポーツ指向の継続

近年、国民の健康指向が指摘されて久しいが、各種のスポーツ活動、温泉、健康づくり、リフレッシュなどを求める都市住民は依然として多く、健康づくりやスポーツに対する意欲は引き続き継続してみられる。

今後の高齢化の進展や医療などの制度改正を念頭に置くと、中高年層においても健康指向が一層高まると考えられる。また、若年層においても様々なアウトドアスポーツを中心にしてそれぞれのスポーツが今後も人気を集めていくことが考えられる。

 

(ウ) 文化芸術体験指向とその内容の多様化

余暇に趣味や自分の研究を楽しんだり、主体的に芸術・文化体験をしてみたいという要望が各年齢層において非常に高い。また、それらの趣味の内容も各人の好みに合わせ多様化している。これらの趣味的ニーズは、インターネットなど情報通信網の発達によりさらに情報収集や情報交換が促進されるため、今後もますます多様化および高度化していくことが見込まれる。

 

(エ) アウトドアレクリエーション指向の定着化

近年、キャンプ、オートキャンプや各種のアウトドアスポーツが若年層を中心に人気を集めたが、その傾向が一過性に終わることなくほぼ定着しているようである。また、ハイキング・散策、登山などは高年層を中心に人気がある。これらのアウトドア活動に対する指向は、各年齢層にわたって定着したと考えられ、今後も続いていくことになろう。

 

(オ) 高年齢者によるレクリエーション活動の活発化

高年齢者は、現状では若者と比較して全般的にレクリエーション活動の多様性と活発さにおいて欠ける面がある。しかし高年齢者の潜在的余暇活動ニーズは高く、今後の余暇の増大と元気な高年齢者の増加に伴い、余暇活動における様々な場面で高年齢者のレクリエーション活動が活発になることが見込まれる。

 

(カ) 余暇の増大によるレクリエーション活動の拡大

これまでは日帰り、宿泊のレクリエーション活動ともに8月や5月など休暇のとりやすい時期に集中する傾向があった。しかし近年、学校に週休二日制が導入され、今後も祝日の曜日指定やサマータイム制導入などが検討されている。これらの制度が実現された場合、連休の増加などの効果により余暇設計の幅が広がり、趣味や創作活動といったレクリエーション活動が盛んになることが見込まれる。

 

 

 

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