(2) エコパークの事例
赤城自然園
保安林機能を保ちながら単調な植林地を野鳥や虫の遊ぶ「生態園」に変える
セゾングループの保有する120haを「本物の自然を知らない現代の子供たちのために、できる限りありのままの自然の状態に計画的に保全と創出によって再編し、自然と肌で接して感動を得る場をつくる」という目標を掲げた総師(堤清二)の構想の下にスギやカラマツのパッチワーク状の荒れた樹林地を、水源涵養及び土砂流出防備の保安林機能を保持しつつ、間伐、下刈、補植などの手を加えて林相を多様化させたプロジェクトである。
現在では、施工後6年を経過し、補植導入した山野草の子孫をひろげ、多くの小鳥や昆虫が飛来している。
一方で、計画地内の新旧の植物リストづくり、昆虫類の生態データや標本の作成など、基礎的な情報を収集し、長期的な計画目標である「フィールド状況と画像を連動させた利用システムづくり」にそなえている。
計画地は、森の生物の観察を主眼とする<オープンインセクト(昆虫)ガーデン>の考え方を基本におき、「四季の森」及び世界的なシャクナゲのコレクション「セゾンガーデン」と将来予定されている昆虫採集などのできる「体験の森」の4つのエリアを区分し、現在は「植栽した植物が現地に馴染み、そこに生物が息づくようになるまでは自然ではない」というオーナーの考えから、「自然への同化」の手当てを行いながら開園にそなえている。