2) 広域農道に関する聞き取り調査
・ S58年に昭和村追分集落で、任意に選んだ31戸の農家を対象に行われた。
・ 殆どの農家が高い評価を与えているが、特に、広域農道を利用して個人で直接市場に出荷できるようになったこと、近在市場への時間距離の短縮があげられる。
・ 広域農道は農協系統の遠距離流通に付随して生じる諸問題に、個人レベルで解決する道を与え、農家の多角的な市場戦略を保証することにつながった。
・ 流通上の利点以外では、作付作物の数の増加、連作障害の克服、生活、教育環境の向上等がある。
・ 調査結果
4 赤城西麓広域農道が地域に与えた影響
1) 浮石質土壌地帯の土地基盤整備に与えた影響
・ 調査地区の畑地帯に共通する土地条件として、山麓一帯に浮石層が堆積しそれが農業発展を阻害する最大の要因となっていた。しかし近年の開拓地を中心にした野菜作の展開、畑作の機械化に対応して、採石業者による軽石の除去と同時に土地基盤整備と農用地開発が進行している。
・ 軽石除去の対象耕地の決定は、車が入れるという道路条件に依存しており、広域農道の開通が、軽石問題に悩まされてきた畑地帯の基盤整備や開畑に大きなインパク卜になっており、この動きは今後の営農展開にも大きな効果をもたらすものと考えられる。
2) 畑地帯の堆肥問題解決に与えた影響
・ 地域農業再編成における農業生産面からの基本的な課題として、堆肥問題がある。そのために広域農道を機軸にして各地域条件に応じた堆肥の供給方式が生み出され、堆肥センターや堆肥舎が建設・運営されるようになった。その運営形態として以下の2つのタイプに分けられる。
?赤城型(地域自給方式)
・ 広域農道の活用を前提として大型畜産団地が形成され、農協主導の2つの堆肥センターが設立された。これは地域内の畜産農家と耕種農家を複合させ、畜産農家の環境保全対策としても重要な役割を果たしている。