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としては、子供に相続させたい、年に一回の墓参りには自分の家(空き家)を使いたい、といった意識があり、ほとんど利用されていない土地や建物でも、売却や賃貸に対しては抵抗がある。

ただし、今回行ったアンケート調査において4人に1人程度は売却や賃貸の意向もあり、必ずしも全てが利用できない状況ではない。仲介をする機関が明確になれば、一定の有効利用の可能性はあると判断される。

むしろ問題は、現在の遊休地や空き家の実態、及び所有者の意向などが必ずしも十分に把握されていないことであり、まずは実態を正確に把握することが基本となる。

 

? 高齢者の社会参加の仕組みが弱い。

今回のアンケート調査をみると、高齢者の就労意欲、社会参加意欲のニーズは極めて高いことがわかった。

逆にみると、これらのニーズに対し受け止める仕組みが十分に形成されていないともいえる。

また、高齢者が社会参加をするための条件として「足」の問題が案外と大きな制約条件になっている。自分で車を運転できる高齢者は問題が少ないが、車がない、あるいは運転できない人たちにとっては公共交通機関が十分にはない中山間地域において、「足」の問題は行動を制約する大きな要因となってくる。

 

? 財政力が弱く、十分な支援体制がとれない。

中山間地域においては、ほとんどの自治体が財政的には豊かではない。本地域においても財政力指数でみると最も高いところで金山町の0.26で、低いところでは昭和村の0.08という状況にある。

それにともない、ハード面での公的な整備体制(例えばU・Iターン者や若者の住宅整備)やソフト面でのサービススタッフ(例えばホームヘルパーや民生委員など)が必ずしも十分には整えきれない面がある。また一方財政再建は各地域の共通課題としてあげられており、人員削減を含めて厳しい体制を余儀なくされている。

このような状況下の中で重要なのは、単一の町村で対応するには限界が

あり、いかに広域的な連携を図っていくかということと、住民や民間パワー、さらには、地元出身者を含めて域外とのネットワークなどをいかに活用していくか、という課題が問われてくる。

 

 

 

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