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3 本荘市における大学を核とした地域づくりの課題

 

(1) まちづくり・都市計画に関する課題

秋田県立大学の立地にともなう大学周辺整備は、市全体のまちづくりを視野に入れて検討することが必要である。

その場合に、本市が解決すべきいくつかの問題がある。まず、市街地の拡大化や郊外型スーパーの進出などによる既存中心市街地の空洞化の問題である。さらに、秋田県立大学の立地にともない発生すると懸念されている学生向けのアパートなど周辺農地・宅地の乱開発であり、郊外へのスプロール化の調整が重要となってくる。

大学を核とした地域づくり、学園都市づくりを進める上では、これらの問題を念頭に置き、学生による中心市街地の利用・居住促進、学生や住民が安心して生活できる居住地整備を図っていくことが重要である。

 

(2) 産業の振興に関する課題

秋田県立大学には、システム科学技術学部が設置される予定であり、関連する最先端の設備が導入されるであろう。既に設置が予定されている産学共同研究センターにおいても、それらの設備を活用した企業と大学との研究交流が行われることになるが、本荘由利地域には、最先端の設備を活用した高度な研究交流を行う対象となる企業は多くない。他方、地元企業が望んでいるのは、最先端の技術よりむしろ本地域産業の発展を支える人材確保及び海外との交流ネットワークの構築であり、そのような地元企業のニーズにあった産学共同研究センターの運営が重要であるが、一方で産学共同研究センターを積極的に活用し得るよう、企業側の意識改革が必要である。

また、本荘由利地域においてこれまで地域経済を支えてきた基幹産業である農業は、農家数、農業人口が減少傾向にある。本地域の農業が将来にわたって発展するためには、高度な技術や情報を効果的に活用した新しい農業への取組を促す必要があり、そのためには高度な技術を保有する大学との研究交流が必要である。

さらに、中心市街地の空洞化が進んでいるが、大学の立地を契機に、地元商店街がにぎわい、活性化されることが期待されている。それを実現するためには、新しい業態や、品揃えの出店を受け入れるとともに、例えば、地元商店街でのイベント開催など学生や住民との関わりを深めるなど、地元商店街が学生と関わるきっかけや仕組みをつくることも課題である。

(3) 住民生活の向上に関する課題

大学入学時において他地域へ流出し、卒業後も本市に戻らない人が多いといわれているが、その理由の一つに、本市のまちとしての魅力が欠けていることが考えられる。具体的な内容として、文化・スポーツ施設が不足しているという声が聞かれるが、大学に対して、体育館や図書館などの施設を住民に開放するだけではなく、公開講座の開催などにより住民に対して開かれた大学となり、地域の文化・スポーツ振興に貢献してもらうことが期待されている。

また、地元小中高校や住民と大学との交流に対する要望も強いことから、本荘キャンパスに設置が予定されている「システム科学技術学部」の専門分野を活かし、コンピュータを活用した、地元小中高校と大学との関わりに対する期待も大きい。

 

(4) 人材定着・定住促進に関する課題

本市の人口は微増傾向にある。しかし、大学進学時など若年者の流出が著しくみられており、大学の立地を契機に若年層を中心とした人材定着と大学生の市内の定住促進を図ることが必要である。そのためには、アルバイトの受け入れや書店の充実など大学生が「住」、「学」、「遊」それぞれの場面で満足できるような環境づくりが必要である。さらに、大学卒業後の定住を促進するため、卒業生ニーズにあった魅力ある「職」の確保や魅力あるまちづくりが重要である。

 

(5) 地域外との交流・連携に関する課題

地元企業による大学への期待が大きいこととして、学会などコンベンションの開催や外国人留学生の受け入れが挙げられる。本地域には、海外を視野に入れた事業展開を積極的に図ろうとする企業もあり、海外との交流ネットワークの構築が課題となっている。

 

 

 

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