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4.4 港湾財政における資金の流れの仕組み

(1) ドイツ国/ブレーメン港
(国からの財政支援)
ドイツにおいては、港湾管理者の行政的分野は州・市政府と一体不可分なので、ヨーロッパのなかでは例外的に独立した会計を設けていない。また、国(連邦政府)から港湾管理者に対する財政支援は基本的に何もなく、また、州政府から港湾管理者の施設整備に対する補助金制度もない。
しかしながら、港湾管理者の財政は慢性的に赤字になる構造なので、特に新規の投資が必要な場合など港湾管理者の収支全体を均衡させるような州政府から支出(州政府の法人税、所得税、消費税などの収入からの支出)を州議会の予算編成過程の審議を経たうえで行っている。
(港湾管理者の収入)
港湾管理者は下部施設をBLGや他の民間会社に貸し付けた賃料(Rent and Inheritance interest)や岸壁使用料(Due)、占有料(Space Fee)によって収入を得ている。また、これらの料率の決定にあたっては、投資額の回収を目的としているものの、近隣の競争相手(特にPrice LeaderとなっているのはRotterdam港)の料率の動向をみながら、貸し付けを受けたBLGやブレーメン港内の民間会社が他の競争相手と十分競争しうるようなレベルに調整している。当然これらについては州議会の審議を経て決定されている。
これらの収入で、港湾の建設、維持管理等に必要な費用を捻出しているが、支出が慢性的に収入を上回っているため、州政府が法人税や所得税、消費税などで得た収入の一部を港湾の建設、維持管理に回している。これらは、州議会の予算編成過程において毎年審議され、必要に応じて認められている。
また、このような予算措置をスムースに受けるため、港湾管理者はブレーメン/ブレーマーハーフェン港がブレーメン市、ブレーマーハーフェン市及びブレーメン州においてどのような経済的効果があるのかについて計量的に試算し、常にアピールしている。とりわけ、ブレーメン市の失業率は約12%、ブレーマーハーフェン市の失業率は約20%とドイツ全体の約8%に比べて非常に高いため、港湾の機能による雇用創出効果を試算し、市民にPRしている(パンフレッ

 

 

 

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