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2. 米国の港湾管理運営

2.1 港湾の所有・管理運営に関する基本的考え方

米国は基本的に州が港湾に関する形態の決定に関して大きな役割を持ち、二つ以上の州にまたがる事項がある場合は連邦の承認を要するとされている。したがって、港湾の陸域に関する管理の権限は州にあり、州によっては郡(County)や市、あるいは、一部事務組合による管理を認めている。
一方、海域あるいは河川については、連邦の行政下におかれており、航路の整備、維持管理は陸軍工兵隊が行っている。泊地についてはポートオーソリティの管理下にある。泊地と航路の境界は港によって異なっているが、泊地とは一般に岸壁前面の水域と考えられている。防波堤の建設、維持管理もやはり陸軍港兵隊が行っているが、米国では、防波堤を必要とする港がほとんどなく、長期間にわたって新規の防波堤建設が行われていない。また、航路標識については、海上保安庁(Coast Guard)が設置、維持管理しているが、港湾内の標識については、ポートオーソリティが設置・維持管理している。
実際の港湾の管理・運営は州、あるいは郡、市等が法律によりポートオーソリティを設立し、ポートオーソリティの評議委員会(ボード)による自主運営が行われている。多くの場合、州、郡、市等は評議員の選定、年当初予算の承認、拒否権などを通じて関与しているのみである。評議員については、州知事や市長が指名し、議会が同意して任命されるところが多いが、ワシントン州のように住民選挙によって選出しているところもあるし。また、港湾管理者の決定事項について、州知事や市長が拒否権を持つ場合と持たない場合があり、州・市による差が顕著である。

 

 

 

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