
第3章 開発エレベーターの仕様と製品構成
本研究・開発委員会で検討したエレベーターの仕様と製品構成をまとめる。このエレベーターを「開発エレベーター」と称する。 3.1 開発エレベーターの基本仕様
3.1.1 開発エレベーターの開発目標 既存駅の特殊性から、そこに設置するエレベーターの開発目標の主な点は次の通りである。 (1)小スペース化 エレベーターを設置するプラットホームやコンコースは、連続的多量の旅客が移動する重要なスペースであるが、既存駅はエレベーターを設置することを想定して設計されていない場合が多く、新たにエレベーターを設置するために捻出できる平面スペースには制約がある。また、垂直方向のスペースに関しても、駅舎施設の構造上、ピット寸法やオーパーヘッド寸法の確保に制約がある。 従って、従来では大掛かりな駅舎構造の改造をしないとエレベーターが設置出来なかった既存駅にもエレベーターが設置できるよう、小スペース化が重要かつ必要である。 (2)エレベーター出入方向の自由度化 駅舎は旅客流動を円滑にするための動線計画がなされている。駅舎の動線計画の考え方は、プラットホームでは列車の進行方向である線路と平行方向、一方コンコース階では線路と直角方向に主動線をとることが多い。 これに対応してエレベーターを設置するためには、エレベーターの出入口は、プラットホーム上では円滑な旅客流動の確保及びエレベーター利用者の安全性確保のため、線路と平行方向に出入りするように配置する必要があり、一方、コンコース階では、コンコースに面し、線路と直角方向に配置する必要が生じる。 このためエレベーターの設置に伴う既存駅舎の改造を極力少なくするためには、エレベーターの出入口はホームとコンコースの上下階で90度位相を変え本直角方向に配置する必要がある。 (3)総建設費の低減 既存駅舎の改造工事費用をできるだけ低減できるエレベーター構造とすることによって、総建設費の低減をはかる。勿論、エレベーター本体も低コストであるのが望ましい。 (4)ノーマライゼーション 移動制約者の優先利用をはかると共に、移動制約者(特に車いす使用者)が単独でもエレベーターを利用できるように、その操作の容易化をはかる。
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