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2.里山の再生と活用
里山が大切な理由の一つとして、既にそこに豊かな緑量の「森」が在ることが挙げられます。いったん緑を剥ぎ取ってしまってから、造成地に植樹して、新たに「森」を復元しようとしても、一定の緑量に達するまでには長い年月を必要とします。 二つ目に、人間の手が加わっているとはいえ、里山の森林はその地域の気候条件や土壌条件に適応して成立したものであるため、一定の抵抗性を持っていることが挙げられます。つまり、造成地に森をつくる場合とは異なり、台風対策の必要や、長期にわたる夏の日照り時にも、水をやる必要が全くないなど、基本的には管理の費用や手数がかからないことです。 ![032-1.gif](../images/032-1.gif
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三つ目に、里山は多種類の植物で構成されており、さらに落葉・落枝を分解する土壌動物や土壌微生物、それに野生動物や野鳥も一体となった、多層社会(生態系)を形成していることも見逃せません。人間がいつまでも健康的に、安心して生活していけることを望むと同時に、これら里山の動植物も安心して生きていけるように、その生息場所を守ってやらなければならないのです。なぜなら人間自身が生きながらえ、また、もっと知的で文化的な生物にレベルアップするためにも、里山の動植物はもちろん、微生物に至るまで、良き協力者として、また未知の情報の提供者として、無くてはならない存在だからです。現に人間は里山の動植物や微生物から様々な薬品を得てきており、そこは、まだまだ未知のものが無数に秘められている宝庫でもあるのです。
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